相振り飛車の基礎知識、定跡をまとめました。詳細記事へのリンクも載せています。
なお、ノーマル三間飛車については「ノーマル三間飛車の基礎知識、定跡まとめ」を、石田流については「石田流の基礎知識、定跡まとめ」を、奇襲戦法&特殊な三間飛車については「奇襲戦法&特殊な三間飛車の基礎知識、定跡まとめ」を参照ください。
目次
相振り飛車戦の囲い
美濃囲い
居飛車VS振り飛車の対抗形でもおなじみの美濃囲い。西暦2000年代に入ってからは相振り飛車でも定番になり、今では金無双をしのぐ人気になっています。
相振り飛車では▲2八玉型よりも▲3九玉型のほうが好まれています。▲2八玉型だと2筋からの攻めや端攻めに対しあたりが強くなるため玉が堅くなったとは一概に言えず、3九から2八への玉の移動の一手を攻めの一手に回したほうが価値が高い場面が多いからです。
さらに、2010年代に入ってからは図のような高美濃はまれになり、より先行を重視して玉頭の歩を突かない平美濃が主流になっています。
なお銀冠が指されることもありますが、美濃囲い→高美濃→銀冠の進展というより、▲2八銀+▲3八金(または▲3八玉)の形から、▲2六歩〜▲2七銀として銀冠に進展する方が一般的です。
金無双
対抗形ではめったに採用されず相振り飛車の戦いで主に採用される、金が横に2枚並ぶのが特徴の囲いです。
玉と金銀が横一直線に並んだ、低くコンパクトな陣形で、上部からの攻めに比較的強い囲いです。銀が2八にいるので、端攻めに強いというのも長所の1つです。
しかしいったん囲いに手が付くと意外ともろかったり、終盤2八の銀が壁銀として祟ることもあります。
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相振り飛車の基礎知識 金無双とは
「金無双」とは、相振り飛車の戦いで主に採用される、金が横に2枚並ぶことが特徴の囲いです。「二枚金」とも呼ばれます。昭和時代の相振り飛車戦では採用されることが多い囲いでしたが、2000年代に入ってからは他の囲いに、とりわけ美濃囲いに主役の座を奪われています。
矢倉
相居飛車戦で定番の矢倉囲いを、左右反転して右辺に構えた囲いです。
組み上がれば堅くて厚みもあり、優秀な囲いです。その反面、組み上がるまでに手数がかかり、組み上がる前に仕掛けられた場合に課題があります。
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相振り飛車の基礎知識 矢倉とは
相振り飛車での矢倉とは、▲3七銀・▲3八金・▲4七金の構えで玉を右辺に囲う囲いです。相居飛車で定番の囲いですが、相振り飛車でも狙うことができ、組み上がれば堅くて厚みもあり、優秀な囲いです。
穴熊
美濃囲いと同様、対抗形でもおなじみの穴熊囲い。玉を隅の1九に囲うのが特徴です。
対抗形の振り飛車穴熊では▲3八金+▲3九金と縦に金が並ぶのが一般的ですが、相振り飛車の穴熊では▲3八金+▲4八金と横に金を並べ、上部からの攻めに備えるのが基本です。
飛車の位置の組み合わせ
先手・後手どちらか、または両方に三間飛車を含むオープニングに絞って紹介します。
三間飛車VS向かい飛車
昔は相振り飛車といえばコレというくらい、先手向かい飛車VS後手三間飛車(第1図)は相振り飛車で定番の戦型です。
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相振り飛車の基礎知識 三間飛車VS向かい飛車とは
昔は相振り飛車といえばコレ(または相三間飛車)というくらい、先手向かい飛車VS後手三間飛車は相振り飛車の定番の戦型です。
三間飛車VS三間飛車(相三間飛車)
先手・後手双方とも三間飛車に振る戦型です。
先手も後手も愛する三間飛車を譲らない、三間飛車愛あふれる戦型と言えるでしょう。
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相振り飛車の基礎知識 相三間飛車とは
「相三間飛車」とは、先手・後手双方とも三間飛車に振る、相振り飛車の戦型のひとつです。初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△3五歩▲7八飛△3二飛で相三間飛車になるのが一般的で、3手目▲7五歩を好む石田流党にとって、避けては通れない戦型です。
三間飛車VS四間飛車
相振り飛車戦での四間飛車は、相手玉へのあたりが三間飛車や向かい飛車に比べて弱く、あまり良い構えとは評価されていないため、採用数が多くありません。
しかし角道オープン四間飛車(角交換四間飛車)の流行にともない、3手目▲7五歩に対し4手目にいきなり△4二飛と振る戦術は増加傾向にあります。
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相振り飛車の基礎知識 三間飛車VS四間飛車とは
相振り飛車戦では、四間飛車は三間飛車や向かい飛車に比べて損な戦法と言われています。玉は深く3筋または2筋(場合によっては穴熊の1筋)に囲うのが一般的であり、三間飛車や向かい飛車なら相手玉に近いところで戦えるのに対し、四間飛車だと争点がズレがちだからです。
三間飛車VS中飛車
中飛車から見て玉を右に囲うオーソドックスな中飛車VS三間飛車と、2010年過ぎ頃から現れた、玉を左に囲う中飛車左穴熊(中飛車左玉)VS三間飛車の大きく2つに分けられます。
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相振り飛車の基礎知識 中飛車左穴熊とは
「中飛車左穴熊」とは、穴熊を右辺ではなく左辺に構える中飛車戦法です。「左」を付けない「中飛車穴熊」の場合、昔からよく知られている、穴熊を右辺に構える中飛車戦法を指すので、これと区別するため中飛車「左」穴熊と呼ばれています。
先手中飛車VS後手三間飛車の方が多い印象ですが、3手目▲7五歩に4手目△5四歩から先手三間飛車VS後手中飛車に進むオープニングもあります。
戦法、戦術
菅井流三間飛車
向かい飛車+矢倉に対して石田流三間飛車+美濃囲いから速攻を仕掛ける、軽快な戦術です。
菅井竜也七段がプロ棋士になる前の奨励会時代に、奨励会での対局や将棋倶楽部24で連採したことで注目が集まり、プロ棋界でも指されるようになりました。
「菅井流」の名の付く戦法や戦術は数多くありますが、菅井七段の奨励会時代に生まれたこの相振り菅井流は「元祖・菅井流」と呼べる戦術でしょう。
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こなたシステム
3手目▲7五歩からの先手石田流に対し、角交換して直ちに筋違い角を放った後、向かい飛車にして飛車先突破を図る戦法です。
先手が2七の地点を1枚で守っている場合は角と飛車の2枚で攻めることができ、2枚で守っている場合はさらに左金を繰り出していって棒金で攻めかかることができます。
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相振り飛車の基礎知識 こなたシステムとは
「こなたシステム」(「K塚システム」とも呼ばれています)とは、3手目▲7五歩からの先手石田流に対し、角交換して直ちに筋違い角を放った後、向かい飛車にして飛車先突破を図る戦法です。
きmきm金
石田流三間飛車対策の戦法のひとつで、左金がユニークな軌道で中段中央に進出していくのが特徴です。金を進出した後は向かい飛車に構えます。
ニコニコから生まれた戦法です。
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石田流の基礎知識 きmきm金とは
「きmきm金戦法」(「きもきも金」と呼びます)とは、石田流三間飛車対策の戦法のひとつで、左金がユニークな軌道で中段中央に進出していくのが特徴です。ニコニコから生まれた戦法で、おなじみのオンライン将棋アプリ「将棋ウォーズ」の戦法コレクションにも入っています。
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