ニコニコ発の石田流三間飛車対策
「きmきm金戦法」(「きもきも金」と呼びます)とは、石田流三間飛車対策の戦法のひとつで、左金がユニークな軌道で中段中央に進出していくのが特徴です(第1図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v金 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 銀 ・ ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=14 △5四金まで
ニコニコから生まれた戦法で、おなじみのオンライン将棋アプリ「将棋ウォーズ」の戦法コレクションにも入っています。
ニコニコ発、対石田流の決定版?
金は横に動けるんです。守りの金を中段に繰り出すことで、相手の陣形を撹乱する。終盤は、玉の薄さには気を付けること。
![](https://thirdfilerook.jp/wp-content/uploads/2019/04/アイキャッチ_NEWS_コンピュータ2-500x281.jpg)
まずは手堅く△3二金
きmきm金の組み方と狙いを説明します。
きmきm金は、主に先手石田流三間飛車対策として用いる戦法です。まず、石田流を目指す3手目▲7五歩に対し△3二金(第2図)と上がります。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=4 △3二金まで
これに対しダイレクトに▲7八飛とすると、△8八角成▲同銀△4五角(参考1図)があります。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・v角 ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 銀 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=8 △4五角まで
▲7六角の切り返しは金が4三の地点を守っているので無効(△2七角成で後手良し)ですし、4手目△4二玉からの△4五角の変化の時に有効な▲5八玉~▲7四歩~▲5五角は、左金と左銀が手厚いのでうまくいきません。
![](https://thirdfilerook.jp/wp-content/uploads/2020/06/eyecatch_battle_2_2-500x281.jpg)
よって先手は▲6八飛と途中下車して玉を3八まで移動(△2七角成を防御)してから▲7八飛と寄るか、▲6六歩と角道を止めてから▲7八飛と回るかのどちらかを選ぶことになります。本記事では後者として説明を続けます。
左金を3二→3三→4四→5四と進出
第2図以下、▲6六歩に対しさらに△3三金~△4四金!(第3図)と上がっていくのが本戦法の真骨頂です。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v金v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=8 △4四金まで
△3四歩と突いたあと、本来守りの駒である金を一目散に上げていくのは異質な、くだけた言い方をすれば「気持ち悪い」動きであり、これが本戦法が「きmきm金」と名付けられた所以です(「きもきも金」とせず表記を崩したのはネットスラング的な動機でしょうか)。
向かい飛車に
第3図以下、居飛車のまま玉を後手から見て左に移動していくのは、金が上ずっているので囲いがあまりにも薄すぎます(参考2図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v玉v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v金v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 銀 ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 △3二玉まで
そのため相振り飛車にするのが理にかなっています。きmきm金では2筋に振って向かい飛車にします(第4図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v金v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 銀 ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 △2二飛まで
3三に角がいて4四や5四に金が移動するので、3筋から5筋までの歩は伸ばしにくく、向かい飛車が最も相性がいいといえるでしょう。
「これも一局」の力戦型
再掲載の第1図。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v金 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 銀 ・ ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=14 △5四金まで
「こなたシステム」の場合、飛車・角・金の3枚で2七の地点を攻める棒金の速攻があります。
![](https://thirdfilerook.jp/wp-content/uploads/2020/11/eyecatch_konata_system-500x281.jpg)
一方、きmきm金で△5四金と寄らずに△3五金~△4四角と棒金を狙っても、低い陣形で対応されると受け止められてします。
速攻はないので持久戦になりますが、双方玉の囲い方から攻撃陣の組み方まで手が広いところ。個人的には「これも一局」の力戦形です(評価値的にも互角)。
石田流側から見て、きmきm金からの強襲はないので、初見でも十分対応できるのではないでしょうか。
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