2017年棋書売り上げランキング9位
「これだけで勝てる 三間飛車のコツ」のひとくちレビューをお送りします。
本書は、2017年に発売された三間飛車の入門書で、2017年の棋書売り上げランキングで9位に輝きました。
著者は大平武洋六段。大平六段は、本書の他にも「これだけで勝てる 石田流のコツ」や「これだけで勝てる 四間飛車のコツ」など、数多くの棋書を執筆しています。
本書の目次
目次は以下の通りです。
第1章 三間飛車三つのコツ
第2章 三間飛車のコツ 急戦対策
第3章 三間飛車のコツ 居飛車穴熊対策
第4章 三間飛車のコツ 左美濃対策
第5章 囲い別攻め筋
第6章 実戦で出やすい形
第1章で解説されている「3つのコツ」は、三間飛車を四間飛車や中飛車などの他の振り飛車と比較したときに言える特徴であり、たしかにその通りだなと感じます。
第2章から第4章に渡って、急戦対策、居飛車穴熊対策、左美濃対策を網羅しているのがグッドポイントです。
なお、左美濃対策は最近流行りの△3一玉型や△2二玉型ではなく、天守閣美濃型(△2三玉型)です。
最後の第6章は、総復習の次の一手問題集となっています。
真部流やコーヤン流を推奨
本書では、ノーマル三間飛車から石田流に組み換える構想ではなく、▲5七銀型にして真部流やコーヤン流で戦う構想を主に解説しています。
たしかに石田流の構想は独特であり、初級者には難しい布陣です。
とりわけ真部流の美しい布陣で勝てたときの勝利の味は格別ですし、真部流やコーヤン流を推すのはよくわかります。
とはいえ真部流やコーヤン流がかんたんかと言われると、そんなことは全くありません。本書を読んでいると、三間飛車はテクニカルな戦法だなぁと改めて感じます。
本書で解説されている反撃手順を実戦で披露できれば、中盤戦で居飛車党を翻弄することができるでしょう。プロ棋士ですら感動する手順です。
囲い別の攻め筋解説も
本書のさらなる良い点は、第5章として舟囲い、天守閣美濃(四枚美濃)、居飛車穴熊の攻略方法を、合計33ページものボリュームで解説している点です。
将棋で勝つにはなんといっても終盤力が必要です。囲いの崩し方がわからず相手玉を仕留められなければ、中盤までどれだけ優勢を築いていたとしても意味がない、といっても過言ではありません。
特に居飛車穴熊はどこから手を付けてよいものかわからない方も多いのではないでしょうか。
囲いを崩し方の解説を読むことで、終盤力の強化につながるでしょう。
三間飛車のコツと美しさを学べる入門書
美しいコーヤン流や真部流の戦術解説を通して対急戦と対持久戦の序中盤戦を学ことができ、さらには居飛車側の代表的な囲いの攻略法解説を通して終盤力も身に付けられる、「これだけで勝てる 三間飛車のコツ」。
内容充実の、お買い得な三間飛車入門書です。
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