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VS持久戦の基礎知識 米長玉(端玉銀冠)とは

WCSC32 dlshogi優勝 谷合四段のpreludeは独創賞を受賞

コンピュータ将棋
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dlshogi with HEROZ、初優勝

2022年5月3日から5日にかけて行われた、第32回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC32)にて、「dlshogi with HEROZ」が優勝を飾りました。おめでとうございます。

玉の早逃げ八手の得

決勝リーグ最終局、「二番絞り」(本ブログでおなじみのHefeweizenやKristallweizenの開発者の方が、従来のNNUE型の白ビールとは決別して開発した、Deep Learning系の将棋AI)との「勝てば優勝」という大一番を終盤の大逆転で制し、うれしい初優勝となりました。

ターニングポイントとなったのは最終盤の第1図。一手前の▲8六桂(7八から移動)が、△7九角に▲7八金を用意しつつ相手玉への攻めを見た好手でしたが、この△4九角が先手・二番絞りが見落としていた勝負手でした。

【第1図は166手目△4九角まで】
後手の持駒:飛 金 銀四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・v金v香 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ と ・ 龍v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ 桂 ・ ・v歩|四
| ・ 歩 ・v歩 金 角 ・ ・ ・|五
| 歩 桂 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩|六
| ・ 玉 香 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ 金 ・v圭 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 歩 ・v角 ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩四 
手数=166 △4九角まで

以下後手・dlshogiの読みでは▲9七玉と「玉の早逃げ八手の得」を選択すれば先手優勢を維持できたようですが、二番絞りはこれを逃し自然な▲6三とを選択。続く△9一玉!!(第2図)の早逃げで後手玉が詰めろがかかりにくい形となりました。

【第2図は168手目△9一玉まで】
後手の持駒:飛 金 銀四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉 ・v金v香 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ と ・ ・ 龍v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ 桂 ・ ・v歩|四
| ・ 歩 ・v歩 金 角 ・ ・ ・|五
| 歩 桂 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩|六
| ・ 玉 香 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ 金 ・v圭 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 歩 ・v角 ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩四 
手数=168 △9一玉まで

第2図の先手玉は一見全く寄らなそうですが、例えば▲7二とには△7五銀!(7六の地点を攻めるのが急所)の詰めろがあります。この辺りの攻防について、以下の公式LIVE実況の7時間44分~8時間3分辺りで解説されています(再生開始位置は合わせてあります)。

本譜は第2図以下▲7八金△6六金と進み、一気に逆転したようです。

しかし、第2図以下▲7二と△7五銀に▲9三龍の王手で合駒請求する変化もあり、非常に難解です。動画でもこの変化を含め解説(開発者の方を交えてのプチ感想戦も)されていますが、さすがに時間が足りず精査にまでは至っていません。明確な結論については開発者の方のブログや「将棋世界」での解説を待ちたいと思います。

追記:山岡さんとあらきっぺさんの解説記事

dlshogi開発者である山岡さんと、元奨励会三段のあらきっぺさんが、本局の解説記事を投稿しました。とても参考になる、面白い記事です。

(追記ここまで)

谷合四段のprelude、四間飛車を多用し独創賞を受賞

一方、大会前に注目していた谷合廣紀四段のprelude。

こちらはまさかの振り飛車党で、しかも四間飛車一筋。流れによっては居飛車に振り戻す棋風を含め、振り飛車寄りのオールラウンダーである谷合四段の棋風が乗り移ったかのようでした。

preludeは一次予選を7勝1敗の好成績で見事勝ち抜きましたが、二次予選では3勝5敗1分の成績で残念ながら決勝進出とはなりませんでした。

しかし自然言語処理を将棋AIに採用した独創性が高く評価され、独創賞を受賞しました。おめでとうございます。

早くも来年の大会への意欲をツイートした谷合四段。どこまで強く仕上げてくるか、今から楽しみです。

耀龍四間飛車など魅力ある振り飛車を披露

preludeの四間飛車を紹介します。

二次予選8回戦、▲なのは VS △prelude戦より。

なのはの居飛車左美濃に対し、preludeは耀龍四間飛車を採用しました(第3図)。

【第3図は36手目△7三桂まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v銀v玉v金v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v歩v歩 ・v角v歩v歩|三
| ・v歩v歩 ・ ・v銀v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ 歩 歩v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ 歩 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ 角 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=36 △7三桂まで

中終盤はリンクを参照してもらうとして、圧巻は最終盤(第4図)。

【第4図は137手目▲9四同銀まで】
後手の持駒:金 銀 桂二 歩五 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v玉 ・v金 ・ ・ ・v歩|三
| 銀 歩v歩v歩 ・ ・v飛v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ ・|五
| 銀 玉 歩v角 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 角 ・ 桂 ・vと ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
|v龍 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:香 歩二 
手数=137 ▲9四同銀まで

第4図以下、△8八龍(取ると△7五銀以下詰み)▲8七香△7五銀▲同歩△9七龍!▲同玉△7五角▲8六銀△同角!▲同玉(▲同香は△8八銀以下)△7五金▲9五玉△9四香▲同玉△9三歩▲同玉△9二歩▲同玉△9一歩▲同玉△3一飛!(第5図)。

【第5図は158手目△3一飛まで】
後手の持駒:角 金 銀二 桂二 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 玉 ・ ・ ・ ・ ・v飛v桂v香|一
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v玉 ・v金 ・ ・ ・v歩|三
| ・ 歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩 ・|四
| ・ ・v金 ・ ・ 歩v歩 ・ ・|五
| 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 香 桂 ・vと ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 角 香 歩五 
手数=158 △3一飛まで

龍と角を切り飛ばし、△9四香から△9三歩~△9二歩~△9一歩の3連打。そして3四で眠っていた飛車を最下段に引きつけ、ふたたび先手玉を9五に押し返して詰ませて勝利。1年前、Youtube動画の企画で谷合四段作の将棋AIが5手詰を読み切れるか心配していたのが噓のような超長手順の詰みを披露してくれました。

3筋&1筋振り直し作戦

このほかの棋譜も見どころたっぷり。下記ツイートは一次予選1回戦のAobaZero戦。部分的には三間飛車藤井システムにも登場する袖飛車&一間飛車振り直し作戦です。

銀冠対策 地下鉄飛車+中住まい

また、下記ツイートは二次予選2回戦の同じくAobaZero戦。居飛車▲7九玉型左美濃からの銀冠に対し、中住まいにしてから地下鉄飛車で8一に振り戻し、銀冠を狙い撃ちする作戦を披露しました。

Deep Learning勢の勝利で決着か

優勝したdlshogi、および準優勝した二番絞りは、ともにDeep Learning勢。従来のNNUE型の将棋AIでは、やねうら王が3位となりました。

電竜戦に続きWCSCでも天下を取ったDL勢。完全決着となったのか、それともNNUE型の巻き返しはあるのか、そしてDL系の中でも自然言語処理型が伸びていくのか。WCSC33にも期待したいと思います。

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