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菅井七段がNHK将棋講座の講師に
2019年3月で終了となる、深浦康市九段のNHK将棋講座「振り飛車なんてこわくない」。
それに代わって、4月からは菅井竜也七段の「菅井流やんちゃ振り飛車」がスタートすることがわかりました。
将棋フォーカス講座は「菅井流やんちゃ振り飛車」。菅井流の豪快で切れ味鋭い振り飛車の手筋を身につけて将棋を楽しみ、ライバルに差をつけましょう。
これは楽しみです。
なお、聞き手は谷口由紀女流二段から鈴木環那女流二段に交代になります。
「やんちゃ」に抵抗した菅井七段
この「やんちゃ振り飛車」という名称は、菅井七段自身の発案ではなく、スタッフの方が考え、提案したものだそうです。
4時間というのは盛っている可能性が大いにありますが、いずれにせよ微笑ましく面白いエピソードです。
ちなみに、最近の解説会での菅井七段の発言がこちら。
やんちゃです。
いろいろな菅井流
この講座では、いろいろな菅井流が解説されることでしょう。三間飛車に限定しても、例えば以下のような菅井流があります。
うっかり三間飛車
別名「ゴキゲン三間飛車」などとも呼ばれる、△5四歩型(▲5六歩型)角道オープン三間飛車です(第1図)。
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「うっかり三間飛車」とは、菅井竜也七段(当時)が2017年に披露した▲5六歩型(△5四歩型)の三間飛車です。第58期王位戦七番勝負、羽生善治王位 対 菅井七段戦で3局も現れたことで、一躍注目戦法となりました。
菅井流三間飛車(阪田流三間飛車)
別名「阪田流三間飛車」とも呼ばれる、△3三金型角交換三間飛車です(第2図)。
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「菅井流三間飛車」とは、△3三金型の角交換三間飛車です。初手から▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△3二金▲3三角成△同金と進む、阪田流向かい飛車を思わせる出だしから、飛車を2二ではなくまさかの3二に移動します。
4手目△3二飛戦法
角交換から▲6五角と打たれてダメ、と一般的に言われている4手目△3二飛(第3図)。「久保&菅井の振り飛車研究」(久保利明九段、菅井七段 著)や「アマの知らない マル秘定跡」(村田顕弘六段 著)で解説されています。
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石田流▲7六飛早浮き型
7手目に▲7六飛(第4図)。こちらも角交換から△4五角と打たれてダメ、と一般的に言われていますが、それを指すのが菅井七段。「菅井ノート 先手編」(菅井七段 著)で解説されています。
対向かい飛車の菅井流三間飛車
相振り飛車戦における、向かい飛車+矢倉に対する菅井流相振り三間飛車(第5図)。菅井七段がまだ奨励会員だった時代にその名が広まった、「元祖」菅井流です。「菅井ノート 相振り編」(菅井七段 著)で詳しく解説されています。
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三間飛車以外にも多数
このほか、三間飛車以外では中飛車左穴熊での居飛車振り直し(第6図。飛車を5八から2八に振り戻した局面)など、数え上げれば切りがありません。
第42回升田幸三賞を、ひとつの戦法ではなく、
中飛車左穴熊やゴキゲン中飛車、早石田など数々の戦法における新工夫に対して
という恐るべき理由で受賞した菅井七段ならではです。
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本人公認の戦法名命名なるか
さて、菅井七段の数々の戦法は、実はあまり追随者が現れず局数が少ないこともあり、誰もが当たり前のように聞いたり使ったりする戦法名が定着していません。そしてご本人公認の戦法名というのもありません。なのでどれもだいたい「菅井流」と呼ばれているのが現状です。
代表的と言えるのが、「うっかり三間飛車」。
はたしてこの名称に代わり、やんちゃなNHK将棋講座スタッフが新たな戦法名を提案し、それを菅井七段が公認して講座の中で使用するかどうか。使用すれば定着することでしょう。大注目です。
将棋フォーカス司会も交代
なお、NHK将棋フォーカスの司会陣も交代となります。伊藤かりんさんから向井葉月さんへ。そして山崎隆之八段と中村太地七段から若手の高見泰地叡王と都成竜馬五段へ。
フレッシュな将棋フォーカスとなりそうです。
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