「創造の原動力」
将棋情報局にて、佐藤康光九段、藤井猛九段、菅井竜也王位の升田幸三賞特別座談会の記事が公開されました。
全6回のうち、1回目と6回目のリンクを紹介しておきます。
この座談会記事は、もともとは将棋世界2015年7月号、8月号、9月号の3回に渡って掲載された記事であり、これらをそれぞれ半分に分けて全6回として、このたび将棋情報局のWebサイトで無料公開されました。
佐藤康光九段、藤井猛九段の肩書きは、今も当時も変わらず九段ですが、菅井王位は当時は六段でした。
個人的には、上述の将棋世界をその当時購入して既読でしたが、菅井六段が王位となり、佐藤九段、藤井九段と肩を並べる立場となった今改めて読み返すと、感慨深いものがあります。
初形から研究
座談会第5回から、一部を引用させていただきます。
藤井 え、それじゃあ初形を眺めながら「今日は、どこの歩から突こうかな?」みたいに考えているの?(一同笑)
菅井 ええ、そうですね。
藤井 おお。それはやっぱり研究家だね。
菅井 研究家というか、性格なのかもしれません。初形をじーっと見て、「今日は何をしようかな」という感じですね。
佐藤 研究する際のタイプは二つに分かれますよね。「テーマ図を決めて、そこから研究する人」と、「テーマ図に至るまでの道のりから研究する人」です。私もどちらかというと、菅井さんと同じ後者のタイプです。
このような菅井王位の姿勢が、最近で言えば「うっかり三間飛車」(第1図。中飛車かと思いきや三間飛車)や「阪田流三間飛車」(第2図。阪田流向かい飛車かと思いきや三間飛車)のような新手を生み出すのでしょう。
「天衣無縫流」の佐藤九段が菅井王位と同様に後者であること、一方で「藤井システム」の藤井九段が前者であることは、確かにその通りだなと感じます。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v王v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=3 ▲7八飛まで
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v王 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ 王 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=10 △3二飛まで
佐藤康光九段、藤井猛九段、菅井竜也王位の升田幸三賞受賞経歴
参考までに、佐藤九段、藤井九段、菅井王位の受賞経歴を紹介しておきます。
第24回 藤井猛 「藤井システム」
第34回 佐藤康光 ダイレクト向かい飛車等の数々の意欲的な序盤戦術や新手を追い求める姿勢
第39回 佐藤康光 「第61期王将戦第1局、対久保利明戦(2012年1月8、9日)の25手目▲5七玉」
第40回 藤井猛 「角交換四間飛車」
第42回 菅井竜也 中飛車左穴熊やゴキゲン中飛車、早石田など数々の戦法における新工夫に対して
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