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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

【電竜戦最終日】振り飛車党・Qhapaq、第3位&TAKESHI賞受賞 優勝はGCT

コンピュータ将棋
目次

GCT優勝、みずうら王はまさかの4位に

2020年11月22日、第1回世界将棋AI 電流戦の2日目が行われました。優勝が決まる最終日です。

その結果、「GCT」が6勝1敗2千日手の成績で優勝しました。おめでとうございます。


一方で、予選全勝で優勝候補筆頭だった「みずうら王 with お多福ラボ」は6勝3敗の成績でまさかの4位に終わりました。

GCTは、6位となったdlshogiなどと同じく「ディープラーニング」を学習手法に取り入れたソフトです。

コンピュータ将棋分野で登場間もないディープラーニング勢が、従来の「KPPT型」や比較的新しい「NNUE型」の学習のソフトを上回って早くも優勝を果たしたことは、衝撃をもって受け止められています。

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振り飛車党・Qhapaq Overfit Adventure、第3位に

そして、初日に振り飛車を多用しA級リーグ入りしたQhapaq Overfit Adventure。

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Qhapaqは2日目も振り飛車を主体とした戦いを披露し、順位を上げて第3位に入りました。おめでとうございます。

内訳は、中飛車4局、向かい飛車2局、三間飛車1局、居飛車2局でした。

初日と合わせて、向かい飛車から中飛車まですべての振り飛車を採用。参加者一覧にて「様々な棋風を使いこなす」としていた事前のアピール通りの、多様性のある指し回しを披露してくれました。

全9回戦のうち5回戦終了時点で唯一の全勝(結果的に優勝と準優勝だったGCTとGrampusにも勝利)で、これはもしかしたらと期待が高まりましたが、6回戦のみずうら王戦に敗れた後そのまま7回戦、8回戦と連敗し優勝戦線から脱落。しかし最終戦で勝利し3位に食い込んだのは見事でした。

電竜戦最終日【A級】 8回戦☗Qhapaq Overfit Adventure-☖いちびん

残念ながら敗れてしまいましたが、三間飛車で戦ったいちびん戦へのリンクを貼っておきます。

電竜戦最終日【A級】 8回戦☗Qhapaq Overfit Adventure-☖いちびん

【第1図は27手目▲4八飛まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・ ・v玉 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v銀 ・v角v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ 飛 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 玉 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=27 ▲4八飛まで

三間から4筋に飛車を振り直した局面。

【第2図は43手目▲4六飛まで】
後手の持駒:歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・ ・v玉|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀v香|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v金v角v歩v桂|三
| ・ ・ ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・v歩 ・v歩|五
| ・ ・ 歩 ・ 銀 飛 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=43  ▲4六飛まで

以下▲4七銀引としてダイヤモンド美濃を築いたあと攻めていきましたが、およびませんでした。

Qhapaq、TAKESHI賞受賞

Qhapaqは、もっとも好成績の振り飛車党(振り飛車評価関数、振り飛車定跡)に贈られるTAKESHI賞も受賞しました。

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第1回電竜戦開幕 & TAKESHI賞提供 2020年11月21~22日に、第1回「世界将棋AI 電竜戦」が行われます。例年秋にあったドワンゴ社主催の電王トーナメントが昨年で終了となり、代わりにCSA(コンピュータ将棋協会)の有志の方々によりオンライン開催されることになったのが本大会です。

議論の余地のない、文句なしの受賞でしょう。おめでとうございます。これからも、振り飛車戦術を含むコンピュータ将棋の発展に貢献されることを願っております。

将棋AIの戦術の多様化に期待

電竜戦の特徴のひとつは、参加者が複数のソフトで大会エントリーできるところでした。Qhapaq開発者のRyoto Sawadaさんは、自身のブログでの初日振り返りで、1人1チームだったら振り飛車党Qhapaqの出場はなかったかもしれないという裏話を披露しています。

参加者として感想を述べると、1人で2チーム以上参加できるルールはとても快適でした。これのお陰でdlshogiとの共同開発とqhapaqの開発を両立することが出来たので、非情に助かりました(1人1チームと言われたら多分deqshi単体になった....かな)。

A級リーグで5位に入ったBURNING BRIDGESとB級リーグで3位に入った振り飛車党・ECLIPSEの開発者の方も、同じ状況だったに違いありません(1チームだったらどちらを優先していたかわかりませんが)。

このルールのメリットを活かし、技術を披露する大会の場でコンピュータ将棋がより多様性を示しかつより速く発展していくことを期待しております。

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