elmo優勝
第31回世界コンピュータ将棋選手権(以下「WCSC31」)は、elmoの優勝で幕を閉じました。おめでとうございます。
最終7回戦にて、それまでトップだったPAL(NHK杯テレビ将棋トーナメントでの評価値表示に使用されています)がRyfamateに敗れ、elmoがW@nderERに勝利したことにより、劇的な逆転優勝となりました。

elmoは、「エルモ囲い」を世に知らしめたことでおなじみのあのelmoです。これでWCSC27以来2度目のWCSC制覇を果たしました。

白ビール第6位、GCTとやねうら王は二次予選敗退
一方、二次予選でトップだった白ビールは決勝では振るわず6位、戦前の評判が高かったDeep Learning勢のdlshogi with GCT(2020年11月に行われた第1回電竜戦で優勝)とやねうら王(WCSC29で優勝)は二次予選敗退でした。
意外性が特に高い大会だったのではないかと思います。


振り飛車ソフト、真冬の時代
今大会では、とりわけ振り飛車ソフトが少ない&振るわない結果となりました。
前述の関連記事の通り、2020年11月の第1回電竜戦ではQhapaq Overfit Adventureが振り飛車を主体とした戦いで第3位に入りましたが、今回のWCSC31では二次予選以降で振り飛車を採用し続けたのはおなじみのHoneyWaffleだけ(過去の大会では2・3ソフトは振り飛車党がいた感触)です。


そのHoneyWaffleも今大会では二次予選で4勝5敗の19位に終わりました。
振り飛車ソフトに対する表彰や勝ち点補正ルール(振り飛車で勝つとボーナス点など)がない限り、この傾向は今後も変わらないでしょう。
HoneyWaffleの三間飛車
HoneyWaffle開発者の渡辺光彦さんが自身のブログでWCSC31を詳しく振り返っており、とても参考になります。
私のこの記事では、観る将目線でHoneyWaffleの全9局を紹介させていただきます。
まず総括すると、1回戦、5回戦、8回戦の3局が角交換からのダイレクト向かい飛車(参考1図。いずれも後手番で、敗戦)、それ以外の6局が三間飛車(4勝2敗)でした。
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=10 △2二飛まで
定跡外しに強い振りやすさ、定跡作成での的の絞りやすさ、および事前準備でわかった勝ちやすさなどをもとに選んだのでしょう。先手番では初手▲7八飛に限定されています。
全9回戦の将棋も1局ずつ振り返りますが、全体的には三間飛車の優秀さを再確認しました。
(中略)
DMについては、一手損角換わり&振り飛車のダブルの評価値ギャップ狙いと千日手狙いで入れていましたが、結果的に不発に終わったので、見直したいと思います。
1回戦(対Qugiy)、5回戦(対PAL)、8回戦(対sakura)の角交換ダイレクト向かい飛車の棋譜はそれぞれ以下の通りです。
三間飛車を採用した6局については少し詳しく解説しておきます。
2回戦 対△Novice
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金v玉 ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v銀 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ 飛 ・ 金 ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=20 △2三銀まで
第1図から、HoneyWaffleは▲7五歩~▲5九角~▲7六飛と石田流組み換えを採用しました。
少し進んで第2図。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v金v銀v歩 ・v銀 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩|四 | ・v歩 歩 ・v角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 飛 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 桂 銀 ・ ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ 角 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=38 △5五角まで
4六の歩をどう守るか考えてしまうところですが、本譜は▲5六銀~▲4七銀上としてあえて△7九角成とさせてから▲6五桂!(5三の銀と7九の馬の両取り)~▲7七角!が妙手順でした(第3図)。
後手の持駒:桂 香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v金v歩 ・v銀 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩|四 | ・v歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 飛 ・ 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 ・ ・ 銀 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・|八 |v馬 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=49 ▲7七角まで
▲7七角のぶつけで角がさばける展開となり、振り飛車不満なしでしょう。
第3図以下、本譜は△7七同馬▲同飛と進んでほぼ互角ですが、もし△9八馬とすると▲1一角成で先手が一気に評価値1000点越えとなります(個人的にはそこまで良いようには全く見えないのですが)。
結果は先手HoneyWaffleの勝利。
3回戦 対▲TMOQ
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=21 ▲9八香まで
第4図以下、△5四銀の揺さぶりを入れてから△3五歩~△5一角。そして△4五銀~△3六歩と仕掛けていきました(第5図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金v角 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 ・ ・|六 | ・ 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=32 △3六歩まで
進んで第6図。
後手の持駒:金 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩v角v歩 ・ ・v歩v飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 銀 ・ ・ ・|六 | ・ ・ 角 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=47 ▲8六歩まで
ここで△4五歩▲同銀△1四飛!(第7図)が面白い手順でした。
後手の持駒:金 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩v角v歩 ・ ・ ・ ・ ・v飛|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 角 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=50 △1四飛まで
手順に相手の銀を進めて無意味のようですが、△3三桂が銀に当たるようにし、左桂をさばきやすくしています。
第7図以下▲6五歩は△6六金で後手良しです。本譜は▲6七銀?!(これもまた狙いがわかりくい手ですが、5六の地点を先受けしています)△3三桂▲3六銀△5四飛と進行しました。
さらに進んで第8図。
後手の持駒:金 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v歩v歩 ・v桂v歩v歩|三 |v歩v角v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 角 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 手数=67 ▲3五同銀まで
ここで△4八歩!が好手。▲同飛には△6五桂!があります。本譜は▲6八金としましたが、以下△4五桂▲4六銀△5七銀▲同銀△同桂成▲同金△6五桂!(第9図)と2枚の桂を綺麗にさばいてしまいました。
後手の持駒:金 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩v角v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 角 ・ 金 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・v歩 ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 桂 手数=76 △6五桂まで
ここでも4八の歩が活きていて、先手の飛車道を遮断しているため穴熊を非常に攻めやすくなっています。
第9図以下、後手HoneyWaffleがそのまま圧倒して勝利しました。
4回戦 対△dlshogi with GCT
二次予選 4回戦 HoneyWaffle - dlshogi with GCT
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v銀v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=22 △3二銀まで
第10図は、後手dlshogi with GCTが左美濃を明示したところです。
ここまでは普通の駒組みでしたが、このあと以下の第11図のように進みました。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一 | ・v飛 ・v銀 ・v金 ・v金v香|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v角v銀 ・|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ ・ 飛 ・ 玉 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 後手番 手数=39 ▲2五歩まで
さらにここから▲7八金~▲6九飛~▲2九飛としていわゆる「羽生式右玉」のような布陣に組んでいます。
数年前であれば、いかにもソフト流の布陣と違和感を覚えたであろう局面ですが、今では自然に見えてしまうのが恐ろしいところです。
このあと中終盤戦にて、壮絶な玉頭戦を制したHoneyWaffleが勝利しました。
dlshogi、戦型に弱点あり?
昨年末の第1回電竜戦で優勝し優勝候補最右翼のひとつだったdlshogi with GCTに、見事勝利を収めたHoneyWaffle。これはすごいことだと思います。
dlshogi with GCTの開発者のひとりである山岡忠夫氏は、自身のブログで以下のようにつづっています。長い持ち時間が苦手だったことのほかに、対振り飛車が苦手だった可能性があるそうです。
戦型に弱点がある
振り飛車が得意なHoneyWaffleに負けたことから、相手が上手い振り飛車だと弱点がありそうです。
強化学習の初期局面には、中盤中心の5億と、たややん互換局面集を多く学習して、たややん互換局面集で勝率測定をしていたため、たややん互換以外の戦型に弱点があったかもしれません。
6回戦 対△モノレ力ー(MolQha-)
二次予選 6回戦 HoneyWaffle - モノレ力ー(MolQha-)
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀v香|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金v角v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 銀 ・ 歩 歩 歩|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 歩 桂 銀 ・|七 | ・ ・ 飛 ・ 金 ・ 金 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 △2二銀まで
モノレ力ーの△1四歩型居飛車穴熊に対し、HoneyWaffleはオーソドックスなクラシック三間飛車を採用。
このような展開になってしまうと、三間飛車が勝ちにくいように感じます。
実際、本局は後手モノレ力ーの勝利となりました。
7回戦 対△カツ丼将棋
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v銀v玉 ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v角v歩 ・|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 銀 歩 ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ 飛 ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 △2二玉まで
上図以下、▲5六銀~▲4五銀~▲5四銀~▲4五銀と、4手連続で左銀を移動させました。5四の歩をかすめ取り歩得を主張していい勝負でしょう。
中終盤、超絶技巧の応酬の末迎えた第14図。
後手の持駒:銀二 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 金 ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|二 |v香 ・ ・ ・ ・v歩v玉 ・ ・|三 | ・ ・ ・ 歩v金 ・v歩 ・v歩|四 |v歩v歩 ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ 歩 歩|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 玉 ・|七 | ・ ・ ・vと ・ ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・v飛 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角二 金 銀 歩二 手数=142 △5九飛まで
上図以下▲4九歩が洒落た一手。△同飛成に▲3九金と先手をとってはじいても先手勝勢ですが、本譜は▲2四銀!と打ちました。
以下本譜は△2四同玉と取ったため▲4二角と打って即詰みとなりましたが、△4四玉には▲4七飛!で、△同龍以外は即詰みまたは▲4九飛と後手の龍を抜いて必勝です(これが▲4九歩の真の意味でした)。△4七同龍に▲同金と取れば、後手の龍を盤上から消した上に手順に金が4七に移動し後手玉の逃走ルートをブロックして詰めろがかかります。
わかりやすい勝ち方でした。
9回戦 対▲たぬきち
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ 玉 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=9 ▲6八玉まで
最終9回戦のたぬきち戦。先手たぬきちが▲2五歩を保留したのを見て(第15図)、後手HoneyWaffleは△3五歩。石田流を目指すよう仕込んであるのは美しいと感じます。
ただ、しばらく進んで▲2五歩に対し結局△3三角(第16図)と上がったのはチグハグだったかもしれません。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=22 △3三角まで
その後第17図のように進行しました。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v飛v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 角 歩 歩 金 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 玉 銀 ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 △1四歩まで
上図以下、▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲2二角△4二角と進行。
評価値的にはほぼ互角で、ソフトは気にしないのかもしれませんが、人間のアマチュア的には(プロ的にも?)早々に飛車角交換されて局面のバランスを保ち続けるのは困難です。実際本譜でも2枚飛車の威力を見せつけてたぬきちが快勝しました。
DL勢の立て直しなるか
今大会で、持ち時間の長い対局での課題を露呈したDeep Learning勢のdlshogiとやねうら王(一方同じくDL勢のPALは第2位)。この課題を解決し、次回のWCSC32では立て直してくるのか、注目です。
その前に、夏と秋には持ち時間の短い第2回電竜戦TSECと電竜戦が予定されています。指定局面大会である電竜戦TSECのお祭り騒ぎと、電竜戦での各チームの居飛車/振り飛車ソフトダブルエントリー(電竜戦では同一チームによる複数ソフトのエントリーが可能)も楽しみにしたいと思います。
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