服部三段と谷合三段が四段昇段
2020年3月8日に第66回奨励会三段リーグ最終戦が行われ、服部慎一郎三段と谷合廣紀三段が通算14勝4敗の成績で四段昇段を果たしました。おめでとうございます。
東京大学大学院博士課程に在籍中でもある谷合新四段の得意戦法は「振り飛車」とのこと(服部新四段の得意戦法は「居飛車乱戦」)。
どんな振り飛車を指すのか、プロ入り後の棋譜中継が楽しみです。
西山朋佳三段、頭ハネで昇段を逃す
一方、女性初のプロ入りが注目された西山朋佳三段は、同じく通算14勝4敗の成績をおさめながらも順位の差、いわゆる「頭ハネ」で惜しくも昇段を逃しました。
初の「女性棋士」誕生ならず、残念です。
21世紀に入ってからの三段リーグ(年2回開催)で、14勝4敗で昇段できなかったのは豊島将之竜王・名人と伊藤真吾五段(Youtubeの「イトシンTV」でおなじみ)、そして今回昇段した服部新四段しかいません。
それほど14勝4敗というのは好成績であり、かつ昇段できなかったのは不運だったと言えるでしょう。
研究されやすい西山三段
西山朋佳奨励会三段は一部の女流プロ棋戦への参加も許されており(詳しくは西山三段のWikipediaページなど参照)、2020年3月現在、女王・女流王座・女流王将のタイトルを保持している女流三冠でもあります。
また、女流タイトルを保持していることから、女流出場枠を持つ一部の男性プロ棋戦にも出場しています。
そのため、西山三段の対局は将棋連盟ライブ中継アプリでも数多く中継されており、他の奨励会員に比べて研究されやすく、不利な立場にいるとも言えます。
そんな環境下での14勝4敗なので、とりわけ価値が高いのです。
得意戦法は三間飛車とゴキゲン中飛車
そんな西山三段の得意戦法は、三間飛車とゴキゲン中飛車です。
特に三間飛車の採用数が多く、例えば将棋連盟ライブ中継アプリで2019年以降に中継された西山三段の対局全20局の内訳は、三間飛車が10局、中飛車が6局、四間飛車が4局となっており、三間飛車が最多です。
相手が振り飛車党であっても、振り飛車を譲って居飛車を採用することはなく、相振り飛車になることを厭わず全局振り飛車を採用しているところも特筆すべきところです。
次回以降に期待
今回四段昇段を逃した西山朋佳奨励会三段ですが、今期14勝4敗という好成績を残しており、実力に疑いはありません。
21世紀に入ってからの三段リーグで14勝4敗で昇段できなかった豊島竜王・名人、伊藤五段、そして服部新四段は、肩書の通りその後四段に昇段しています。
次回以降の三段リーグでの健闘に期待したいと思います。そして、四段に昇段し、プロ棋界で三間飛車をはじめとした振り飛車で活躍してくれることを願っています。
コメント