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【2021年12月版】将棋ウォーズの三間飛車党トップ3まとめ

将棋AIが示す三間飛車の新たな可能性(1)三間飛車ミレニアム編

目次

三間飛車と振り飛車ミレニアムの相性は

2020年3月に、以下の記事を書きました。

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「将棋革命!振り飛車ミレニアム戦法」2020年3月発売 2020年3月末に、振り飛車でミレニアム囲いに組んで戦う戦術書「将棋革命!振り飛車ミレニアム戦法」が発売されます。「ミレニアム囲い」(「トーチカ囲い」とも呼ばれています)は、従来居飛車VS振り飛車の対抗形で居飛車が採用する囲いです。このミレニアムを、振り飛車で採用する戦術を解説するのが本書です。

この記事の中で私は、三間飛車と振り飛車ミレニアム(略して「振りミレ」とも呼ばれています)の相性について、要約すると以下のように書きました。

POINT
  • 石田流と振り飛車ミレニアムの相性は悪い
  • 三間飛車▲6七銀型(▲5六銀型)と振り飛車ミレニアムの相性は悪い
  • 相穴熊の定番形(参考1図)における三間飛車穴熊を振り飛車ミレニアムに置き換えてみるのは有力かもしれない
【参考1図は△4四銀まで】
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v金v桂v王|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀v香|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 銀 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩|七
| ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 銀 香|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 金 桂 王|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=36 △4四銀まで

詳しくは上述の記事を参照ください。

最後の「相穴熊の定番形における三間飛車穴熊」とはすなわち、三間飛車▲5七銀型(▲4六銀型。後手番であれば△5三銀型および△6四銀型)のことを指しています。

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VS居飛車穴熊の基礎知識 相穴熊とは 居飛車穴熊に堅さ負けしたくない、という人にとってうってつけでしょう。振り飛車側も同じく穴熊に組んでしまいます。振り飛車側の穴熊なので、「振り飛車穴熊」と呼びます。三間飛車との組み合わせの場合、「三間飛車穴熊」と呼んでもかまいません。そして、両者穴熊の戦型を「相穴熊」と呼びます(第1図)。

強豪振り飛車党ソフト・Millaarq-kai

その後三間飛車ミレニアムの可能性については検討していませんでしたが、2週間ほど前、コンピュータ将棋ソフト解説の先駆けであるsuimonさんによる以下のツイートが目に止まりました。

【第1図は37手目▲4六銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v金v桂v王|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀v香|二
|v歩 ・v歩v歩v銀v金v角v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 角 ・ ・ 歩 桂 歩 ・|七
| ・ ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 銀 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ 金 王 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=37 4六銀まで

第1図は本局の途中図です。

「Millaarq-kai」とは、現在コンピュータ将棋対局場・floodgateにいる強豪振り飛車党ソフトです。

Millaarq-kaiを運用している方は、floodgateの上位の常連ソフト「BURNING_BRIDGES」を運用している方でもあります。

Millaarq-kaiのベースである振り飛車評価関数「Millaarq」は、世界コンピュータ将棋選手権(WCSC)の常連ソフト「W@nderER」の開発者の方により開発されました。

三間飛車▲4六銀型+振り飛車ミレニアム

前置きが長くなりましたが、第1図の通り、三間飛車▲4六銀型+振り飛車ミレニアムが強豪将棋AIにより指された、というのがポイントです。

【再掲載第1図は▲4六銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v金v桂v王|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀v香|二
|v歩 ・v歩v歩v銀v金v角v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 角 ・ ・ 歩 桂 歩 ・|七
| ・ ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 銀 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ 金 王 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=37 4六銀まで

後手の居飛車穴熊は△4四銀型ではありませんが、相手が持久戦である必要があるという意味では外れていません。

自分の序盤構想が間違っていなかったことを示す棋譜が将棋ソフトにより生み出されたことは、うれしく思います。

難解な形勢判断の上で成立する戦法

とはいえ話はそう簡単ではありません。形勢判断が難解すぎます。

第2図は、第1図と同じ局面で先後それぞれのソフトの評価値付きのものです。

 【第2図は▲4六銀まで】

先手は完全に互角に近いと考えており、後手はわずかに自分が良いと考えています。

第2図以下の指し手
      △8六歩
▲同 歩  △4五歩
▲3三角成 △同 桂
▲4五桂  △同 桂
▲同 銀  △8六飛(第3図)

 【第3図は△8六飛まで】

△4五歩が、四間飛車ミレニアム相手にも幾度となく登場する決戦の手段です。

第3図は、互角の駒割りで後手に飛車先突破を許しそうな状況で、人類が好んで選ぶ展開ではないと思いますが、これを選べないと三間飛車ミレニアムを指すのは難しいかもしれません。

ちなみに先手はここへ来てわずかに自分が良いと考え始めています。後手は相変わらず自分がわずかに良いと考えていますが、評価値はやや減少傾向です。

もう少し進めておきます。

第3図以下の指し手
▲8八歩  △6七角
▲7五角  △8二飛
▲7七飛  △8九角成
▲8七飛  △8五歩
▲1五歩  (第4図)

 【第4図は▲1五歩まで】

馬を作られた上に桂損する展開です。▲8四歩と打つと二歩になってしまうことには要注意。

はたして人類にこの順が選べるでしょうか。先手が自分がわずかに良いと考えていることが、にわかには信じられません。

ちなみにこのあと振り飛車が勝利していることから、本局面の評価値としては先手のほうが正しい可能性は大いにあります(振り飛車を過大評価する「振り飛車バイアス」がかかっているだけの可能性もあります)。

三間飛車ミレニアムの堅さを理解する

第4図の局面を振り飛車不満なし、ととらえられるようになるには、角と左銀が攻めに利く好所にいるうえ端から先行できている(冒頭の記事でも書いた通り、三間飛車ミレニアムは攻撃的な方にオススメです)という点を評価するとともに、振り飛車ミレニアムの堅さを理解する必要があるのでしょう。

遠山雄亮六段は、2020年9月10日に行われた第79期順位戦C級2組、伊藤真吾五段戦にて、伊藤五段の振り飛車ミレニアムと対峙した感想を、以下のように述べています。

振り飛車トーチカは新しい戦法で、距離感をつかむのに苦労しました。

思った以上に相手の囲いは耐久力があり、中盤の誤算で劣勢に。

そのまま押し切られてしまいました。

指して経験を積んでみないとなかなか理解が難しいですが、振り飛車ミレニアムは直感的な印象よりも堅いと言えるようです。

現在は居飛車党の目が慣れていないという側面もあるでしょう(居飛車ミレニアムも、出始めの頃はプロの振り飛車党でも目が慣れておらず(急所がわからず)苦労したそうです)。

三間飛車ミレニアムに未来はあるのか

▲4六銀型の三間飛車ミレニアムは、▲5六銀型の四間飛車ミレニアムよりもむしろ堅く美しいようにも見えてきました。

▲4六歩と突いておらず玉のコビンが空いていないのがメリットのひとつ。右桂をうまくさばけば左銀を3七に引きつける展開にも持ち込めるかもしれません。

後手からの決戦策や、そもそも急戦で来られた場合への対処には苦労する面がありますが、ソフトの指し回しなどを参考にしつつ、今後普及していくことになるかどうか。三間飛車ミレニアムの未来を見守っていきたいと思います。

追記:久保利明九段の三間飛車ミレニアム

この記事をアップした翌日に行われた第68期王座戦五番勝負第第3局で、久保利明九段が永瀬拓矢王座を相手に三間飛車ミレニアムを採用しました。

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久保九段、永瀬王座の居飛車穴熊に三間飛車ミレニアムで対抗 王座戦 2020年9月24日、五番勝負の第3局が行われました。久保九段は第1局で四間飛車ミレニアム、第2局でゴキゲン中飛車を採用。そしてこの第3局で、ついに三間飛車を採用しました。角道を早々に止める、ノーマル三間飛車です。

(追記ここまで)

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 人間の感覚ですと先手の陣形や手順に違和感がありますが、陣形はともかくこの手順で先手が勝利するとは凄いですね。早速試してみたくなりました。

    • あわわさん
      コメントありがとうございました。
      そうですね、この記事では解説していませんが、中盤の振り飛車からの攻めが見事で、試してみたくなる魅力的な棋譜だと思っています。

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