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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

藤井猛九段と戸辺七段の相猫だまし戦法 順位戦

猫だまし戦法
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藤井猛九段の初手▲7八飛戦法、再び

2019年8月21日に行われた順位戦B級2組、▲藤井猛九段 対 △戸辺誠七段戦。棋譜と詳しい解説は、名人戦棋譜速報と将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。



振り飛車党同士の屈指の好カードとなった本局にて、先手番となった藤井九段は、初手▲7八飛戦法(猫だまし戦法)を採用しました(第1図)。

【第1図は初手▲7八飛まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=1 ▲7八飛まで

藤井九段の初手▲7八飛戦法といえば、今年3月に行われた第67期王座戦二次予選、対△松尾歩八段戦で初採用し、かつ意欲的な新手を披露したことが思い出されます。

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藤井猛九段、初手▲7八飛戦法を初採用 王座戦 2019年3月6日に行われた第67期王座戦二次予選、▲藤井猛九段 対 △松尾歩八段戦。本局で先手番となった藤井九段の初手は、▲7八飛でした。藤井九段が初手▲7八飛戦法(別名「猫だまし戦法」)を採用したのは本局が初めてです。

本局での初手▲7八飛には、同じ振り飛車党である戸辺七段に対する

藤井猛九段(イメージ)

戸辺君、相振り飛車にしない?

というメッセージのようにも見えます。

戸辺誠七段の2手目△3二飛戦法

はたして、戸辺七段の2手目は△3二飛でした(第2図)。

【第2図は2手目△3二飛まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=2 △3二飛まで

こちらは戸辺七段からの、

戸辺七段(イメージ)

わかりました。どちらが三間飛車で勝るか決めましょう。

というメッセージのようにも見えます。

戸辺七段の相三間飛車といえば、先日三間飛車党・山本博志四段との掛け合いがあったばかりです。

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飛車先を突かない相三間飛車

▲7五歩・△3五歩型の相三間飛車は、昔々から相三間飛車定跡として良く知られた形です。

しかし初手▲7八飛すらここ10年以内に現れた手法ですから、お互い飛車先を突かない相三間飛車はレア中のレア。観戦記者の後藤元気氏(後述の通り、新聞に掲載される本局の観戦記担当)によると、過去に1局だけ前例があったようです。


私は過去の前例1局を知りません。この先、将棋世界などで明らかにされることを願っています。

なお棋書を調べてみると、今年3月に発売された「振り飛車の新機軸!初手▲7八飛戦法」(門倉啓太五段 著)には載っていませんでした。間もなく9月に発売になる「角交換相振り飛車 徹底ガイド」(杉本昌隆八段 著)にもおそらく載っていないでしょう。

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ちなみに今年1月に行われた竜王戦6組ランキング戦、▲西山朋佳女王(奨励会三段)対△山本博志四段は、初手から▲7八飛△3四歩▲6八銀△3二飛の手順で相三間飛車に(参考1図)。惜しい。

【参考1図は4手目△3二飛まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=4 △3二飛まで

この対局後、山本四段は以下のようにつぶやいています。


今後、初手▲7八飛→2手目△3二飛の相三間飛車も研究が必要になってくるかもしれません。将棋は深いです。

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大熱戦

さて本局はその後、先手・藤井九段が飛車を浮いて石田流に。後手・戸辺七段は飛車は浮かず、向かい飛車に振り直すこともなく三間飛車を貫きました。以下大熱戦の末、127手で藤井九段の勝利。

戸辺七段は自身のブログにて本局を振り返っています。

本局は、後日新聞の将棋欄にも掲載されるとのこと。


こちらにも期待しましょう。

参考:評価値グラフ

Chart by Visualizer

※棋譜解析エンジン / 評価関数:
 YaneuraOu NNUE 4.88 / 振電改

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