「三間飛車」の読み方は?
あなたは「三間飛車」をなんと読んでいますか?キーボードでどうタイピングしているかを思い出してみても良いでしょう。
この先を読み進みる前に、あなたの意見を固めておきましょう。この先を読むと、先入観が入ってしまい、自分がなんと読んでいたかわからなくなる可能性があります。
「さんけんびしゃ」か、「さんげんびしゃ」か
事の発端は、今後発売予定のコンピュータ将棋ソフト「やねうら王2」の音声収録でした。
やねうら王2の音声収録中、「さんけん飛車」か「さんげん飛車」か論争が勃発(笑) pic.twitter.com/4OsYdkvDTy
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) June 21, 2019
このツイートをきっかけに、Twitter上で突如「三間飛車」の読み方論争が始まりました。
「飛車」の読み方が「ひしゃ」ではなく「びしゃ」なのは間違いありませんが、はたして「三間」の読み方は「さんけん」「さんげん」どちらが多数派で、どちらが正解なのでしょうか?
棋士・棋界著名人の方々の意見まとめ
プロ棋士や将棋関係者の方々のツイートをいくつかまとめました。
さんけんだと思ってました笑 https://t.co/9nBWvM4hMy
— 山本 博志 (@yamahiro3ken) June 21, 2019
「さんけん」飛車派です
— 藤田 綾 (@aya_fjt) June 21, 2019
三間飛車のさんけん、さんげんの読み方気になったので確認してみました。
将棋ウォーズのボイス機能での棋士の読み方はこちらでした!
【さんげん】
加藤一二三九段・塚田女流初段
【さんけん】
香川女流三段・谷口女流二段・山口恵梨子女流二段どちらも正しいですね(^^)
— 将棋ウォーズ公式 (@warsminamin) June 21, 2019
さんけん飛車?さんげん飛車?と話題になっていますが、これは連濁でしょうね。「ん」のような鼻音の次にくる語は濁ることが多いです(似たような話でいうと3階=さんがい問題が有名でしょうか)。もっとも言葉の成り立った時期などで一概にはあてはめられないのですが、さんげんに一票いれてみます🙇♂️
— 香川愛生 Manao Kagawa (@MNO_shogi) June 21, 2019
さんげんだと思ってました😳
— 塚田恵梨花 (@erika_hana_) June 21, 2019
三間飛車の読み方は「さんけん」か「さんげん」かという問題。こういうことは観戦記者の大御所である東公平さんに尋ねるのが間違いないと思い、お電話してみました。「それは考えたことないなあ。どちらでもいいんじゃないですか? 日本語だとそういうこと、ありますよね」とのことでした。ですよね。
— mtmt (@mtmtlife) June 21, 2019
ちゃんと調べずに書いてしまい、すみません。しかし、さんげんだと何十年も思ってこの世界にいて、まさか別の世界線があるとは思いませんでした(しかもそちらがやや優勢)
— 上野裕和 (@hirokazuueno) June 21, 2019
PCに登録しているIME用将棋用語辞書を見てみたところ、「さんけん」「さんげん」「さんけんびしゃ」「さんげんびしゃ」がすべて登録されているっぽい。どうやらかなり慎重な方が作成してくださったようですね。自分では普段さんげんびしゃ、と言ってる気がする。
— Daisuke Katagami (@shogidaichan) June 21, 2019
自分は石田流を解説するときは「石田流さんげん飛車」で、振り飛車全体を解説するときは「しけん飛車」からの流れで「さんけん飛車」と発音してるみたいです。
いやー
三間飛車指したくなってきた^ ^— 戸辺 誠 (@TobeMako) June 21, 2019
相三間飛車決戦始まる
ついにはプロデビュー以来生粋の三間飛車党・山本博志四段と、「石田流を指しこなす本」、「戸辺流相振りなんでも三間飛車」など数々の三間飛車の棋書執筆でも知られる振り飛車党・戸辺誠七段の相三間飛車対決(参考1図)に、「さんけん」派と「さんげん」派の命運が託されることに(冗談ですが、ニコニコ動画で企画としてやりそうな内容ではあります)。
博志くん、
今から相三間飛車で決着つけない?笑笑
— 戸辺 誠 (@TobeMako) June 21, 2019
や、先生の振り飛車愛の年季にはかないません笑笑
場所は… 三軒茶屋ですかね?3️⃣ https://t.co/rZWdwN9V8I— 山本 博志 (@yamahiro3ken) June 21, 2019
アンケート結果は
Twitter上でのアンケート結果は以下の通りです。
やねうら王2の音声収録中に巻き起こった論争。あなたは「さんけん飛車」派?「さんげん飛車」派?
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) June 21, 2019
「さんけん飛車」が60%、「さんげん飛車」が40%。
なにより2000を超える投票が集まったことに、この論争の手軽さとキャッチーがわかります。
メディアでは
ウィキペディアやメディアでの表現方法は以下の通りです。
三間飛車(さんけんびしゃ・さんげんびしゃ)は将棋の戦法の一つ。振り飛車戦法に分類される。飛車を先手ならば7筋、後手ならば3筋に振る。英語名称はThird File Rook。
小倉久史七段の著書。『下町流三間飛車』(2006年)、『攻めて勝つ!三間飛車の心得』(2018年)では「げん」。『三間飛車新時代』(2017)では「けん」。
— mtmt (@mtmtlife) June 22, 2019
自分がいま確認できる古い文献。
坂田三吉『一手千金将棋虎之巻』(1912年)→「げん」
梶一郎『将棋世界』(1938年5月号)→「げん」— mtmt (@mtmtlife) June 22, 2019
国会図書館で、書籍のタイトルの読み方で検索した結果。
さんげんびしゃ 32件
さんけんびしゃ 5件しけんびしゃ 105件
よんけんびしゃ 7件— mtmt (@mtmtlife) June 22, 2019
自由に呼んで、楽しんで指せる三間飛車
まとめると、昔は「さんげんびしゃ」でしたが、もともと厳密な決まりはなく、今では「さんけんびしゃ」と「さんげんびしゃ」が両方使われており「さんけん」がやや優勢、といったところでしょうか。どちらも正解です。
個人的には戸辺誠七段のツイート
自分は石田流を解説するときは「石田流さんげん飛車」で、振り飛車全体を解説するときは「しけん飛車」からの流れで「さんけん飛車」と発音してるみたいです。
いやー
三間飛車指したくなってきた^ ^— 戸辺 誠 (@TobeMako) June 21, 2019
の意見に最も近く、語感や言いやすさ、暗黙の日本語ルールから「さんげんびしゃ」と元々呼んでいたものが、「しけんびしゃ」との対比で「さんけんびしゃ」と呼ばれるようになったと感じています。
「三間飛車」は自由に呼んで、自由に指して、自由に楽しんでいいんです。
読み方、呼び方を考えるだけでも楽しめる三間飛車。皆さん、三間飛車を指してみませんか。
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