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耀龍四間飛車、升田幸三賞受賞
2021年4月1日に、第48回将棋大賞受賞者が発表され、大橋貴洸六段の「耀龍四間飛車」(参考1図)が升田幸三賞を受賞しました。おめでとうございます。
大橋六段は、2018年4月22日に放送された第68回NHK杯1回戦、三浦弘行九段戦で、四間飛車金無双の布陣から玉頭を盛り上げて三浦九段の居飛車穴熊に勝利し、注目を集めました。
その後大橋六段は2020年4月に「耀龍四間飛車 美濃囲いから王様を一路ずらしてみたらビックリするほど勝てる陣形ができた」をリリースし、「耀龍四間飛車」の名前が定着しました。
現在ではほかのプロ棋士も追随する、人気戦法となっています。
とりわけ2020年11月9日に行われた第62期王位戦予選、▲渡辺明名人 対 △片上大輔七段戦にて、片上七段が耀龍四間飛車で渡辺名人の居飛車穴熊に勝利したのは鮮烈でした。
耀龍四間飛車、戦法コレクションに追加
一方、将棋ファンにおなじみのオンライン将棋対局アプリ「将棋ウォーズ」にて、2021年4月2日に新たに2つの戦法が戦法コレクションに追加になりました。
そのうちのひとつが、上述の耀龍四間飛車です。
耀龍四間飛車 獲得段位ランキング
納得の戦法コレクション入りでしょう。
振り飛車ミレニアムも
戦法コレクション入りしたもうひとつの戦法が、「振り飛車ミレニアム」です(参考2図)。
振り飛車ミレニアム 獲得段位ランキング
振り飛車ミレニアムでとりわけ印象的だったのが、2020年の9月から10月にかけて行われた第68期王座戦五番勝負、永瀬拓矢王座 対 久保利明九段戦で、久保九段が四間飛車ミレニアムと三間飛車ミレニアムを採用したことでした。
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久保九段、永瀬王座の居飛車穴熊に三間飛車ミレニアムで対抗 王座戦
2020年9月24日、五番勝負の第3局が行われました。久保九段は第1局で四間飛車ミレニアム、第2局でゴキゲン中飛車を採用。そしてこの第3局で、ついに三間飛車を採用しました。角道を早々に止める、ノーマル三間飛車です。
2020年3月には本戦法の先駆者のひとりである村田顕弘六段による棋書「将棋革命!振り飛車ミレニアム戦法」がリリースされました。
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「将棋革命!振り飛車ミレニアム戦法」2020年3月発売
2020年3月末に、振り飛車でミレニアム囲いに組んで戦う戦術書「将棋革命!振り飛車ミレニアム戦法」が発売されます。「ミレニアム囲い」(「トーチカ囲い」とも呼ばれています)は、従来居飛車VS振り飛車の対抗形で居飛車が採用する囲いです。このミレニアムを、振り飛車で採用する戦術を解説するのが本書です。
こちらも納得の戦法コレクション入りでしょう。
同じ▲3八玉型(後手番のときは△7二玉型)から派生する2つの戦法が仲良く同時に戦法コレクション入りしたのは、とても良かったのではないかと思います。
将棋AIと共存しながら生まれる新戦法たち
将棋AI(コンピュータ将棋ソフト)の棋力が人間のそれを上回る時代となった今でも、将棋ソフトと共存しながら、こういった新しい戦法が誕生しているのはすばらしいことだと思います。
今後新たにどんな戦法が現れるか、将来も楽しみです。
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