進化するプロの流行戦法〜振り飛車編〜
毎週日曜日の朝に放送されているNHK将棋フォーカス。
2020年7月26日に放送されたNHK将棋フォーカスの特集は、「進化するプロの流行戦法〜振り飛車編〜」でした。
講師は近藤誠也七段。特集の中で取り上げられていたトピックスの一部は以下の通り。充実の内容で、良い特集でした。
- 各振り飛車の特徴
- 振り飛車の戦型別採用率
- 現役プロ棋士中の振り飛車党の割合
- 対抗系での居飛車の流行戦法、新戦法
- 振り飛車党インタビュー
- 対抗系での振り飛車の新戦法
居飛車の流行戦法としてトーチカ囲い(ミレニアム囲い▲7八金型)、新戦法としてエルモ囲い急戦が、また、振り飛車の新戦法として振り飛車ミレニアム(参考1図)が取り上げられていました。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v王|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀v香|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 ・ 桂 歩 歩|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 金 玉 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=0 ▲6五歩まで
振り飛車ミレニアムについては、プロ棋界で最初に採用した司会の都成竜馬六段をフィーチャーした面もありそうですが、実際にプチ流行しているのも事実です。

三間飛車が最多
そして最も注目したのが「振り飛車の戦型別採用率」。ここで言う「戦型別」とは、向かい飛車、三間飛車、四間飛車、中飛車という大きなくくりです。
「平成31年・令和元年版 将棋年鑑 2019」には戦型別採用率は載っていなかった(自分が見つけられなかっただけの可能性もありますが)ので、これはうれしいデータでした。
「近藤七段調べ」のデータでしたが、プロ棋士の方はプロ公式戦全体のデータベースにアクセスできるはずなので、信頼できるものでしょう。
1996年のデータと2019年のデータが対比される形で、採用率(%)が紹介されていました。
なぜ1996年が取り上げられたのかは謎ですが、察するに、この年は藤井システムが流行していた時期で、1997年には藤井猛九段が将棋大賞の升田幸三賞を受賞しました。四間飛車の採用率が過半数を優に超えており、特徴的な年として取り上げられたのでしょう。
そして昨年2019年の結果は、微差ながらも見事三間飛車がトップでした。
ちなみに、三間飛車トップの要因を説明する中で、チラリと戦友・山本博志四段の名前を出したところがさすが近藤七段です。

2020年はノーマル四間飛車の年か
さて現在2020年はどうかというと、これは私の想像ですが、四間飛車がトップとなりそうな気がします。
前述の振り飛車ミレニアムや、△7二玉型で△6二金直とする駒組み(参考2図。耀龍四間飛車系)など、基本的にノーマル四間飛車と組み合わせで用いられる流行形が最近多く、プロ棋戦での採用が目立つからです。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v銀v王v金v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v銀 ・v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 王 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=0 △8四歩まで
つい昨日行われた第14回朝日杯将棋オープン戦でも、折田翔吾新四段が△7二玉・△6二金型を連採していました。
2020年のデータにも注目していきたいと思います。
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