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15年目の昇級
「三間飛車藤井システム」を編み出した振り飛車党・佐藤和俊六段が、第77期順位戦C級2組で9勝1敗の成績をおさめ、C級1組への昇級を決めました。
佐藤六段はノーマル三間飛車や先手中飛車などを操り、2016年度の第68回NHK杯テレビ将棋トーナメントで準優勝、2018年の第26期銀河戦でベスト4、そして竜王戦でも現在2組在籍と結果を残しています。
これらの活躍が認められて、2017年度下期にはNHK将棋講座の講師、そして2019年からは囲碁・将棋チャンネルで三間飛車藤井システム講座の講師を担当中と、注目を集めています。
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NHK将棋フォーカス 2017年10月のテーマは三間飛車藤井システム
2017年10月から来年3月までの半年間、NHK将棋フォーカスの講座の講師が佐藤和俊六段になります。聞き手は9月までと変わらず室谷由紀女流二段です。メインタイトルは、「カズトシ流 主導権をにぎる振り飛車」。そして10月のテーマが「後手番で緩急自在 三間飛車藤井システム」です。三間飛車党は必見でしょう。
しかし、順位戦には白星が集まりきらず、一番下のC級2組に在籍し続けていました。
その佐藤六段が、15年目にしてついに昇級。おめでとうございます。
トン死での勝利
今期の佐藤和俊六段の順位戦で印象に残っているのは、2018年12月20日に行われた8回戦、瀬川晶司六段戦です。
棋譜と詳しい解説は、名人戦棋譜速報│将棋・名人戦順位戦棋譜速報サイトはもちろん、将棋連盟ライブ中継アプリでも観ることができます。
居玉を維持した後手三間飛車藤井システムの布陣から、瀬川六段の持久戦志向を見て△7四歩(第1図)から雁木に組み、先行します(第2図)。
その後、一進一退の攻防の末に瀬川六段が良くなったか、という局面で、瀬川六段に痛恨の一手が出てしまいました(第3図)。
この局面で、先手玉がトン死しています。正解手順は最後に掲載します。
この勝ちは単なる幸運ではありません。後手番ながら先行して積極的に攻め、穴熊の金銀をはがして王手がかかる形に持ち込んでいたからこそ、トン死筋が生まれたのです。
この一勝は、昇級争いに踏みとどまることができたとても大きな一勝でした。
「このままでは終われない」
昇級を決めた勝利の後に行われた取材で、声が震え続けていたという佐藤和俊六段。コメントの一部を引用させていただきます。
もどかしさを感じつつも、しょうがないと思った時期もありました。でも、このままは終われないなと。チャンスもあると思ってやってきました。年齢を言い訳にするにはちょっと早いと思ったんです。
中高年層だけでなく、皆を奮い立たせる、すばらしいコメントだと思います。
順位戦だけでなく、全棋戦でのますますのご活躍を願っています。
正解手順
第3図以下、△9八香ではなく△9八金(第4図)から入るのが急所。
本譜はこの手を見て瀬川六段が投了しました。
▲同玉の一手に△8九銀▲9九玉△9八香以下詰みです。
直前に先手の攻めの中で後手が香車を入手したことで、突如詰み筋が発生していたのでした。
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