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高崎一生七段、最終局を待たずに昇級決定
2021年2月2日に行われた第79期順位戦C級1組、▲高崎一生七段 対 △村田顕弘六段戦にて、高崎七段が勝利し、順位戦成績を9戦全勝として最終局を待たずに昇級を決めました。おめでとうございます。
高崎七段は今期の順位戦9局のうち、この村田六段戦を含む6局で三間飛車を採用。三間飛車が昇級の原動力のひとつとなったのは間違いないでしょう。
3月10日追記:最終局も勝利し10戦全勝
高崎七段は、2021年3月9日に行われた最終戦、▲高見泰地七段戦でも勝利。10戦全勝で昇級に花を添えました。なお、敗れた高見七段も8勝2敗の成績で昇級しました。
本局にて、高見七段の居飛車穴熊に対し高崎七段はノーマル三間飛車からコーヤン流+ミレニアム囲い風の布陣を採用。終盤、端攻めで圧倒し勝利しました。
最終的に、今期順位戦全10局のうち7局で三間飛車を採用したことになります。
(追記ここまで)
高勝率も維持
2020年12月26日に書いた以下の記事で、高崎七段の好調ぶりを伝えていました。
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今期好調の振り飛車党・高崎一生七段
高崎七段は三間飛車を多用する振り飛車党。2020年9月に七段に昇段したばかりです。三間飛車の採用率が非常に高く、例えば将棋連盟ライブ中継アプリで中継された2019年度以降の高崎七段の対局22局のうち、14局で三間飛車を採用しています。もはや三間飛車党と呼んでもよい採用率でしょう。
この時点での今期の勝率は0.762で全棋士中第2位の成績でしたが、現時点でも勝率は0.733で全棋士中第6位と、好調をキープしています(直近の井出隼平四段(対局当時)戦で敗れる前は全棋士中第2位でした。なお、第1位は鉄板の藤井聡太二冠です)。
来期のB級2組での戦いにも期待したいと思います。
注目していた山本博志四段戦
高崎一生七段と言えば、2021年1月17日に書いた以下の記事で、第69期王座戦(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)二次予選、▲高崎七段 対 △山本博志四段戦に注目していました。
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山本博志四段の超積極的エルモ囲い急戦対策
2021年1月14日に行われた第69期王座戦二次予選、▲山本博志四段 対 △飯塚祐紀七段戦。2021年に入って2戦目、第69期王座戦初戦となる本局にて、山本四段はいつも通り三間飛車を選択。対する飯塚七段はエルモ囲い急戦を選択しました。
本局が2月9日に行われました。少し紹介します。
王座戦における棋譜利用ガイドラインに沿って利用させていただきます。
三間飛車VS四間飛車
先手番となった山本四段は、いつも通り初手▲7八飛と三間飛車を明示。対する高崎七段は、端歩の位を取った後角道オープン四間飛車に構えました(第1図)。
高崎七段も初手▲7八飛を多用する振り飛車党で、かつ山本四段はどんな時でもほぼ三間飛車を採用するので、高崎七段が先手だったら相三間飛車になっていたのではないかと推測します。
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相振り飛車の基礎知識 相三間飛車とは
「相三間飛車」とは、先手・後手双方とも三間飛車に振る、相振り飛車の戦型のひとつです。初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△3五歩▲7八飛△3二飛で相三間飛車になるのが一般的で、3手目▲7五歩を好む石田流党にとって、避けては通れない戦型です。
相向かい飛車に
この後、高崎七段から角交換した後、互いに向かい飛車に振り直しました(第2図)。
山本四段側は、飛車先の歩交換の後飛車を最下段まで引く現代風の相振り飛車の構えです。
しぶとい△9二玉
第2図以下、山本四段が端攻めを仕掛け、高崎七段が反撃、続いて山本四段が二の矢を見せ高崎玉を9二に追い込む展開となりました(第3図)。
が、そこからの三の矢が無く、高崎七段がじわじわと山本玉を包囲し受けなしに追い込み勝利しました。
男性プロ棋戦ではあまり現れない、相振り飛車の好勝負だったと思います。
これにより高崎七段は王座戦二次予選決勝に進出。相手は行方尚史九段です。
参考:評価値グラフ
※棋譜解析エンジン / 評価関数:
YaneuraOu NNUE 6.00 / 騨奎紫(たけし)
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