佐藤天彦九段、挑戦者決定リーグ入り
2021年12月23日に行われた第62期王位戦予選、▲高崎一生七段 対 △佐藤天彦九段戦。
高崎七段は角交換三間飛車を採用し、中盤優勢になったものの、佐藤九段が終盤で順位戦A級の力を発揮して逆転し勝利しました。
勝った佐藤九段は王位戦挑戦者決定リーグ進出が決定。おめでとうございます。
今期好調の三間飛車党・高崎七段
惜しくも敗れた高崎一生七段を、この記事では紹介します。
高崎七段は三間飛車を多用する振り飛車党。2020年9月に七段に昇段したばかりです。
三間飛車の採用率が非常に高く、例えば将棋連盟ライブ中継アプリで中継された2019年度以降の高崎七段の対局22局のうち、14局で三間飛車を採用しています(それ以外ではゴキゲン中飛車が多め)。もはや三間飛車党と呼んでもよい採用率でしょう。呼びます。
高崎七段は今期好調で、最初に取り上げた佐藤九段戦に敗れる前日の時点での今期の成績は16勝5敗。勝率0.762は全棋士中堂々2位の成績でした。
今期の順位戦C級1組では、12月時点で7戦全勝。昇級争いのトップを走っています。ちなみに、7局のうち三間飛車採用局は4局です。詳しくは名人戦棋譜速報をご覧ください。
はたして昇級なるか、注目しています。
高崎七段の三間飛車
最後に、高崎一生七段の三間飛車の実戦を一局紹介します。2020年11月26日に行われた第69期王座戦一次予選(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)、▲森下卓九段 対 △高崎一生七段戦です。
後手番の高崎七段は三間飛車にしたあと居玉のまま駒組を進める三間飛車藤井システムを採用(第1図)。
その後、居飛車穴熊にせずに金銀の連結を重視した囲いの構想を見せた森下九段に対し、高崎七段は玉頭攻めはせずに玉を移動後3筋から仕掛けていきました(第2図)。
中終盤、森下九段の金銀が密集した囲いが堅いようにも見えましたが、高崎七段は巧みに食いついて金を上ずらせ、相手玉が見える形に持ち込みました(第3図)。
第3図は森下九段が後手玉に詰めろをかけたところです。ここで決め手があります。
玉を近づけて仕留める
正解は、△7九銀です(図略)。これで先手玉が詰んでいます。
第3図以下△7八金から入ると、▲9八玉と逃げられて王手が続きません。△7九銀に▲9八玉ならもちろん△8八金でかんたんに詰みます。
▲7九同玉と取りますが、そこで△7八金と頭金で打てば今度は取る一手です。
金銀をあっという間に手放してしまいましたが大丈夫。△6七歩成で金を取れます。この手が王手になるのが玉を7八に呼び込んだ効果で、一石二鳥です。
以下▲6七同玉△5七金で森下九段投了となりました。詰み手順の続きを解説しておくと、△5七金以下▲7七玉△6八龍▲8六玉に△7五銀が好手で、▲同金△6六龍(これが王手になるのが△7五銀の効果)▲7六金△7五角▲8五玉△8四歩までとなります。
詰将棋は重要です。
参考:評価値グラフ
※棋譜解析エンジン / 評価関数:
YaneuraOu NNUE 4.89 / 振電改
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