菅井七段のNHK将棋講座を書籍化
2020年4月に、菅井竜也七段の新著「菅井竜也のやんちゃ振り飛車」が発売になります。
本書は、2019年の4月から9月にかけてNHK将棋フォーカスの中で放送された将棋講座「菅井流 やんちゃ振り飛車」の内容を書籍化したものです。
初段を目指す級位者向けの内容となっています。
「菅井流〜」から「菅井竜也の〜」に変更
ちなみに、放送時のタイトルが「菅井流〜」だったのに対し、書籍では「菅井竜也の〜」になっています。
正確な理由はわかりませんが、「菅井流〜」というと、後述の通り今回カットされた相振り飛車の「元祖・菅井流」や、△3三金型三間飛車(参考1図)、中飛車左穴熊での飛車の2筋振り戻しなど、しきいが高く難解な構想と受け止められてしまう可能性があるので避けた、などの理由かもしれません。
本書の目次
NHK将棋講座「菅井流やんちゃ振り飛車」放送時の月毎のテーマは、それぞれ以下の通りでした。
- 4月号・・・ゴキゲン中飛車VS急戦
- 5月号・・・ゴキゲン中飛車VS持久戦
- 6月号・・・相振り飛車の戦い
- 7月号・・・石田流三間飛車VS急戦
- 8月号・・・石田流三間飛車VS持久戦
- 9月号・・・先手中飛車の戦い
一方で、本書「菅井竜也のやんちゃ振り飛車」の目次は以下の通りです。
第1章 低い陣形でさばく石田流三間飛車(急戦編)
第2章 豪快かつ繊細に攻める石田流三間飛車(持久戦編)
第3章 積極的に動いて主導権を握る先手中飛車
第4章 角銀桂の活用でスキを突くゴキゲン中飛車(急戦編)
第5章 自在に立ち回り優位を築くゴキゲン中飛車(持久戦編)
つまり、相振り飛車が無くなっています。
これは、「居飛車VS振り飛車」の対抗形というわかりやすい構図の一冊にまとめたかった、という意図があったのではないかと推測します。
また、相振り飛車の講座では向かい飛車+矢倉に対する三間飛車+美濃囲いからの速攻、いわゆる「元祖・菅井流」(参考2図)の戦いが解説されていたのですが、この解説が難解だから外した、という理由もあったかもしれません。
さらには、菅井七段の著書の1つ「菅井ノート 相振り編」と内容がかぶるから、というのもあったかもしれません(それを言ったら「菅井ノート 先手編」と「後手編」も同様じゃないか、となりそうですが)。
というわけで、菅井七段による元祖・菅井流の解説を読みたい方は「菅井ノート 相振り編」を選びましょう。
石田流▲7七角型の解説に注目
目次に戻って、三間飛車党にとっての本書の注目ポイントは、もちろん第1章「低い陣形でさばく石田流三間飛車(急戦編) 」と第2章「豪快かつ繊細に攻める石田流三間飛車(持久戦編)」です。
放送時の内容を基本的に踏襲しているはずで、その特徴は特に▲7七角型の石田流三間飛車にフォーカスして解説している点です。
前述の記事でも紹介している通り、棒金に対し石田流▲7七角型で対抗する形を解説している棋書は相当貴重であり、有段者にも一読の価値があるでしょう。
石田流党、ゴキゲン中飛車党、菅井七段ファンにオススメの一冊
石田流三間飛車とゴキゲン中飛車の基本的な構想や手筋を簡潔に学ぶことができる、「菅井竜也のやんちゃ振り飛車」。
NHK将棋講座テキストに掲載されていた菅井七段のコラム「タッチャンの空飛ぶ振り飛車」も収録されており、菅井七段ファンももちろん注目の一冊です。
コメント