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5筋に飛車を振る三間飛車
「△5二飛型三間飛車」とは、初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩と先手が居飛車を志向してきたのに対し、後手番で△5四歩▲2五歩△5二飛と構える三間飛車です(第1図)。
この三間飛車を指しこなせるのは、根っからの三間飛車党であり、ファンから厚い支持を得ている山本博志四段しかいません。
山本博志四段が観る将アワード2019・Twitter&文章部門賞を受賞
「観る将アワード2019」とは、文春オンラインにて行われた、「観る将」の視点から2019年度の将棋界を振り返り、アンケートを募って「観る将的名局賞」や「ベスト解説&聞き手」などの部門賞を決める企画です。深浦康市九段と遠山雄亮六段をゲスト審査員に招いた座談会形式になっています。
山本四段がごくまれに△5二飛型三間飛車を採用したときの、Twitterでの三間飛車党の盛り上がりには、目を見張るものがあります。
棋書も発売
ついにはこの△5二飛型三間飛車の棋書も発売されました。
三間飛車はついに5筋まで来た!
のキャッチコピーが斬新です。
△4二飛型三間飛車や袖飛車型三間飛車も
2022年2月に行われた第80期順位戦C級2組、上村亘五段戦で、ついに△4二飛型三間飛車(角交換振り飛車)を初披露した山本博志四段。
他にもごくまれに袖飛車型三間飛車や相掛かり型三間飛車も採用しています。しかも結果を残しているのがすごいところです。
山本博志四段、雁木VS左美濃の相居飛車戦を制す
2021年6月16日に行われた、お~いお茶杯第63期王位戦予選、▲渡辺和史四段 対 △山本博志四段戦。序盤、後手・山本四段は角道オープン型で待機したあと、端歩の駆け引きに渡辺四段がお付き合いしたのを見て、おもむろに飛車先の歩を突いて居飛車を明示しました。
三間飛車党・山本博志四段、相掛かりを採用 順位戦
2019年11月14日に行われた第78期順位戦C級2組、▲山本博志四段 対 △出口若武四段戦にて、「生涯三間飛車」を標榜する山本四段が初手で飛車先の歩を突き、相掛かり戦法を採用しました。
朝日新聞に掲載された、上述の上村亘五段戦の自戦記の中で、以下のように語っている山本四段。
私山本博志は9割9分三間飛車しか指さない偏った戦法選択で知られている。しかし、常に新しいスタイルも模索している中での毎局ごとの決断で、3筋に飛車を振っているだけのことだ。
各メディアでユーモアを見せつつ、盤上の戦いはもちろん対局準備において真摯な姿勢で将棋に取り組む山本四段から、今後も目が離せません。引き続き応援していきたいと思います。
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