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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

山本博志四段、雁木VS左美濃の相居飛車戦を制す

駒
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王位戦 渡辺和史四段戦

2021年6月16日に行われた、お~いお茶杯第63期王位戦予選、▲渡辺和史四段 対 △山本博志四段戦。

棋譜と詳しい解説は、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。

後手番となった三間飛車党・山本四段は、意外な戦法を採用しました。

居飛車左美濃を採用

序盤、後手・山本四段は角道オープン型で待機したあと、端歩の駆け引きに渡辺四段がお付き合いしたのを見て、おもむろに飛車先の歩を突いて居飛車を明示しました。

これには渡辺四段も観戦記者も観ていたファンも驚いたに違いありません。

渡辺四段は自身のTwitterにて「山本四段は三間以外も何でも指せるのを知っているので居飛車系統でもそこまで驚きはなかった」と報告しています。

ただ、こう報告していること自体、驚きがあったことの裏返しでもあります。

角道を止めて早めに△4三銀型にし、展開によっては振り飛車でなく居飛車雁木に構える二段構え戦術(参考1図。このあと△3二飛とすれば三間飛車、△8四歩とすれば雁木へ)は、佐藤和俊七段をはじめ今では馴染みのある戦術です。

【参考1図は14手目△9五歩まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 ・ 玉 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=14 △9五歩まで
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しかし本譜は角道オープン型での居飛車の明示。先手から角交換していたら、角換わりに進む展開もあり得たところです。山本四段としては、そう進んでもある程度用意があったのでしょう。

山本四段の三間飛車以外の将棋

山本博志四段の四段デビュー以降の順位戦と将棋連盟ライブ中継アプリの全棋譜を改めて調べてみたところ、三間飛車(相振り飛車での三間飛車含む)以外を採用しているのは、2019年11年14日に行われた第78期順位戦C級2組、△出口若武四段戦での相掛かり(山本四段の勝ち)と、2020年10月15日第79期順位戦C級2組、▲石田直裕五段でのゴキゲン中飛車(山本四段の勝ち)だけでした。

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三間飛車党・山本博志四段、相掛かりを採用 順位戦 2019年11月14日に行われた第78期順位戦C級2組、▲山本博志四段 対 △出口若武四段戦にて、「生涯三間飛車」を標榜する山本四段が初手で飛車先の歩を突き、相掛かり戦法を採用しました。

言わずもがなですが、山本四段が三間飛車以外を採用するのは非常に珍しいことです。

振り飛車風味の袖飛車の構え

本譜に戻って、角道を止めて穏やかな順を志向した渡辺和史四段に対し、そうはさせじと7筋からさっそく仕掛けていったのにも驚かされました。

その後袖飛車にして飛車を浮く軽い構えに。振り飛車党の相居飛車は一味違います。

例えば佐藤和俊七段の三間飛車藤井システムからの陽動居飛車戦術でも、飛車を振り戻す筋は基本的に4筋、3筋、または1筋です(参考2図)。

【参考2図は40手目△7三桂まで】
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v飛 ・v金 ・v金v王 ・|二
| ・v歩v桂v歩v歩v銀v角v歩 ・|三
| ・ ・v歩v銀 ・v歩v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 王 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=40 △7三桂まで
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2筋にいてはいけない制約でもあるのでしょうか(笑)?

また、山本四段自身、本譜の進行を以下のように振り返っているのが面白いところです。

左右挟撃の寄せ

中盤、渡辺四段の猛攻で山本四段の左美濃だけが凹まされる展開になりました。

一方の渡辺四段の雁木は手付かずのうえ、山本四段の攻撃陣は軽い形。

これではいずれ反撃できたとしても渡辺玉まで届かないように素人目には見えましたが、山本四段は「攻め駒を責める」受けから体を入れ替え、いつの間にか渡辺玉を左右挟撃形に追い込んでしまいました。

以下渡辺四段も粘りましたが、最後はこれまた振り飛車らしく?ダイナミックに飛車を活用した山本四段が渡辺玉を仕留めて勝利。見応えのある、華々しい将棋でした。

次戦は渡辺明名人戦

勝ち進んだ山本博志四段の次戦の相手は、なんと渡辺明名人。

2021年6月10日に行われた第80期順位戦C級2組、▲塚田泰明九段戦では後手番で石田流乱戦、そして本局では居飛車左美濃と、たしかに現在色々な戦術を試みている山本四段。

しかし渡辺明名人戦では、十八番のノーマル三間飛車で悔いが残らないように思い切りぶつかっていくのではないでしょうか。

体調があまり思わしくない旨を報告している山本四段ですが、この一局で持てる力を存分に発揮して、見応えのある将棋を披露してくれることを期待しています。

参考:評価値グラフ

※棋譜解析エンジン / 評価関数:
 YaneuraOu NNUE 6.00 / 騨奎紫(たけし)

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