6局中3局が初手▲7八飛戦法
将棋ファンにおなじみの将棋連盟ライブ中継アプリ。
その2019年7月16日の中継で、6局中3局が初手▲7八飛戦法(第1図。別名「猫だまし戦法」とも)という衝撃的な事態が発生しました。
第32期竜王戦4組の▲矢倉規広七段ー△野月浩貴八段戦、第5期叡王戦の▲片上大輔七段ー△宮田敦史七段戦、そして第4回YAMADAチャレンジ杯の▲西田拓也四段ー△黒沢怜生五段戦の3局です。
近年の三間飛車人気の理由のひとつが、初手▲7八飛が優秀である(と考えられている)ことで、プロ公式戦での初手▲7八飛の採用率は2017年度の1.9%から2018年度は2.6%と増加しています。少ないようですが、初手▲7六歩、▲2六歩、▲5六歩に次ぐ4番目の人気です。そしてうれしいことに、2年連続で「最も勝率の高い初手」の栄誉に輝いています。
『将棋年鑑 2019』データで見る最新将棋事情より。
初手▲7六歩の採用率が5割を切るという衝撃の事実。
そして、勝率が一番高いのは初手▲7八飛。|将棋情報局 #将棋情報局 https://t.co/V9nnpWnJpH pic.twitter.com/18x4OKGbJO
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) July 13, 2019
と言っても勝率が高い理由は、その優秀性というよりも西田拓也四段や鈴木大介九段など強豪スペシャリストの採用率が高いからかもしれません。
無念の全敗
初手▲7八飛以下は、当然ながら後手の対応によって様々な戦型に変化します。
▲矢倉七段ー△野月八段戦は先手ノーマル三間飛車+銀冠VS後手居飛車穴熊、▲片上七段ー△宮田七段戦は先手ノーマル三間飛車+銀冠VS後手右四間飛車+銀冠持久戦、▲西田四段ー△黒沢五段戦は先手角交換向かい飛車VS後手左美濃となりました。
気になる結果は、初手▲7八飛戦法側の無念の全敗。こういうときもあります。
立石式石田流、相三間飛車も
6局中3局が初手▲7八飛でしたが、残る3局中2局も三間飛車党にとって胸熱の展開となりました。
西田四段に勝利した黒沢五段は、引き続き同日に本田奎四段と対戦。この一局で先手・黒沢五段は四間飛車から▲6五歩〜▲7五歩と突く立石式石田流(立石流四間飛車)を採用しました。駆け引きの末、6六〜7六のルートではなかったものの6五〜7五のルートで飛車を7筋に転換。以下見事な大駒さばきを見せて本田四段に快勝しました。
また、第9期リコー杯女流王座戦、▲岩根忍女流三段ー△谷口由紀女流二段戦では相三間飛車+相金無双から相向かい飛車に振り直す定跡形が登場。結果は先手・岩根女流三段の勝利となりました。
初手▲7八飛戦法の巻き返しに期待
比較的短いインターバルで不定期に発生する三間飛車祭り(最近発生した過去の三間飛車祭りについては以下の関連記事を参照ください)。今後も将棋連盟ライブ中継から目が離せません。
初手▲7八飛戦法の巻き返しにも期待したいと思います。
コメント
コメント一覧 (1件)
穴熊に勝つには、美濃囲いを組まない方がイイよ。そのやり方では、コンピューターに勝てないよ。
美濃囲いなんて、後手番の急戦でしか使わない。