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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

石田流の基礎知識 立石式石田流(立石流四間飛車)とは

立石流
目次

アマ強豪が発案した新型石田流

「立石式石田流」とは、アマチュア強豪・立石勝己氏が編み出した新型石田流構想です(第1図)。

【第1図は47手目▲5八銀まで】
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v金v王 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・ ・ ・|三
| ・v飛 ・ ・v歩v歩v銀v歩v歩|四
| ・v歩 歩 歩 ・ ・v歩 ・ ・|五
| ・ ・ 飛 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 ・ ・ 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 金 ・ 銀 ・ 銀 王 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=47 ▲5八銀まで

この構想は、一般的には「立石流四間飛車」と呼ばれていますが、「真・石田伝説 (マイナビ将棋文庫)」 にて、「立石式石田流」と紹介されています。

本記事でも、この立石式石田流という名称を用います。

ノーマル四間飛車から左辺の位取り

立石式石田流は、第2図に示す通り、その構想を明らかにする前は普通の四間飛車と同様です。

【第2図は16手目△1四歩まで】
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v王v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三
| ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 ・ 飛 ・ ・ 銀 王 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=16 △1四歩まで

しかしここから、立石式石田流独特の軽快な指し回しが始まります。

第2図以下の指し手
▲6五歩  △8五歩
▲7五歩  (第3図)

【第3図は19手目▲7五歩まで】
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v王v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 ・ 飛 ・ ・ 銀 王 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=19 ▲7五歩まで

大胆不敵な6筋と7筋の歩の伸ばし。以下8筋の飛車先歩交換には▲7八金から▲8七歩で受け止めます。

また、角交換には▲8八同銀で問題ありません。一見銀がそっぽに行かされて不満のようですが大丈夫。後述します。

石田流へ

第3図のあと、角交換(居飛車側から角交換してこなければこちらからいきましょう)から▲6六飛~▲7六飛とするのが独特な構想第2弾。6筋の位をとった、大胆な石田流の完成です。

居飛車側に△6三銀型を取られないので、△8四飛と飛車を浮かれない限りいつでも▲7四歩と仕掛ける権利を持っているのが長所の1つといえます。

十数手進んで第4図。

【第4図は38手目△4二金上まで】
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金v金v王 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v銀 ・v銀v歩 ・|三
| ・v飛 ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 王 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=38 △4二金上まで

ここまでは自然な手順です。

なお、角交換しているため居飛車側を穴熊に組ませにくくしている(穴熊にして駒が偏ると角打ちのスペースが生じる)、というのが立石式石田流のもう1つの長所です。

左銀を移動

第4図からは、定跡を知っていないとなかなか指しづらいかもしれません。

第4図以下の指し手
▲7九銀  △3五歩
▲6八銀  △4三金右
▲6七銀  △3四銀
▲5六歩  △2四歩
▲5八銀  (第5図)

【第5図は47手目▲5八銀まで】
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v金v王 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・ ・ ・|三
| ・v飛 ・ ・v歩v歩v銀v歩v歩|四
| ・v歩 歩 歩 ・ ・v歩 ・ ・|五
| ・ ・ 飛 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 ・ ・ 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 金 ・ 銀 ・ 銀 王 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=47 ▲5八銀まで

悪形の左銀をじっと中央へ移動。居飛車側からは仕掛けづらく石田流側に主導権のある形なので、手損はしていますがあまり響きません。

もちろん居飛車側の左辺(玉形)は手が進み、「玉頭位取り」の好形にはなりますが、 石田流側も右辺は金銀3枚の美濃囲いと堅くなった上、左辺も伸び伸びとして満足な形。好勝負が期待できるでしょう。

以下の仕掛けの構想などは、参考文献を参照ください。

参考文献

週刊将棋 マイナビ出版 2016-10-17
「将棋世界」編集部 マイナビ出版(日本将棋連盟発行) 2016-09-05

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