①△6六歩の変化
それではまず、前回の第2図から①△6六歩(第1図)と押さえ込みにこられた場合の対策について説明します。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v王v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 銀 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 王 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=12 △6六歩まで
第1図以下の指し手
▲7七角 △4二玉
▲4八玉 △3二玉
▲3八玉 △7四歩
▲6七歩! (第2図)
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v王v角 ・|二 |v歩v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 銀 金 ・ 王 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲6七歩まで
機を見て「合わせの歩」
気を付けなければならないのは、△6六歩と打たれたタイミングで▲7七角と上がるべき、ということ。そうしないと、△8五飛と回られて面倒なことになります。
また、本譜手順中▲4八玉と上がらずに早速▲6七歩と合わせにいくのは危険です。後手から手は無いので、先手も手に乗って▲4八玉→▲3八玉と玉を囲いにいくほうが勝ります。3八まで囲えば2七の地点をケアできるのが大きなポイントです。
そして▲3八玉まで囲ってから、満を持しての▲6七歩!これで位を奪還できます。
第2図以下の指し手
△6七同歩成
▲同 銀 △6二飛
▲6八飛! (第3図)
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・ ・v王v角 ・|二 |v歩v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 王 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=23 ▲6八飛まで
鉄則通りの飛車寄り
中段飛車では戦えないとみて当たりを避けた△6二飛に対し、▲6八飛!「戦いの起こっている筋に飛車を振り、さばきにいく」という振り飛車の鉄則通りの飛車寄り。本譜の一連の手の流れに、感動すら覚えます。
第3図を眺めてみると、先手の左銀・金に対し、後手の右銀・金が立ち遅れているのがわかります。
強豪の中盤戦
以上で①△6六歩対策は終わってもよいのですが、第3図以下のo.kantaro七段の勝ち切り方も必見ですので、 続けて紹介させていただきます。
第3図からだいぶ進んで迎えた第4図。
後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・v金v王 ・ ・|二 | ・v歩 ・v金 ・v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v角 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 金 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 銀 王 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=52 △4四同角まで
玉が堅い、一歩得(左銀の進出で3四の歩をかすめ取った)、角が手持ち、と先手いいことづくめの第4図ですが、勝ちきるのはまだまだ大変です。ここからの強豪の方の指し回しはとても参考になります。
第4図以下の指し手
▲4六歩 △3三桂
▲4八飛 △5三角
▲4五歩 △6四角
▲4七銀 △8二角
▲3八金 (第5図)
後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀 ・v香|一 | ・v角 ・v飛 ・v金v王 ・ ・|二 | ・v歩 ・v金 ・v歩v桂v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 金 歩 銀 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 飛 金 王 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=61 ▲3八金まで
手厚い指し回し
パッと見だと、とりあえず▲5一銀と割り打ちをかけて相手陣を薄くしたくなりますが、効果薄ということなのでしょう。相手の角頭をいじめつつ、玉頭を手厚くしていくのが効果的な指し回しのようです。勉強になります。
第5図以下の指し手
△5三金寄
▲3六銀 △5二金引
▲4四歩 △同 歩
▲同 飛 △4三金右
▲4八飛 △4六歩
▲3五銀打 (第6図)
後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀 ・v香|一 | ・v角 ・v飛 ・v金v王 ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・v金v桂v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・v歩 銀 ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 金 歩 ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 飛 金 王 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=71 ▲3五銀打まで
玉頭戦で圧倒
後手の右金の立て直しに対し、先手は▲3六銀から▲3五銀打と、玉頭の勢力をさらに強めていきます。以下、最後まで玉頭の戦いに終始し、結果は先手の圧勝。「お見事」の一言です。
次回は、前回の第2図から②△6二飛とする展開について説明します。
次回

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