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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

久保九段、三間飛車藤井システムで挑むも郷田九段に破れ準決勝敗退 棋聖戦

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準決勝

棋聖戦における棋譜利用ガイドラインに沿って利用させていただきます。

2019年4月19日に行われた第90期ヒューリック杯棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)決勝トーナメント準決勝、▲久保利明九段 対 △郷田真隆九段戦。

棋譜と詳しい解説は、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。

本局に勝てば挑戦者決定戦進出となる、棋聖戦決勝トーナメント準決勝。先手番となった久保九段が採用した作戦は、三間飛車藤井システムでした(第1図)。

【第1図は21手目▲3六歩まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v王 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 銀 歩 ・ ・ 歩 ・|七
| ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 王 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=21 ▲3六歩まで

三間飛車藤井システムは、居玉のまま端歩と玉頭攻めの構えを優先する布陣です。

2019年2月に行われた第68期王将戦七番勝負第4局、▲久保王将 対 △渡辺明棋王戦(肩書はいずれも当時)では、似たような局面から後手・渡辺棋王がミレニアム囲いを採用。本局を含む4連勝で王将を奪取し二冠となったのは記憶に新しいところです。

序盤の駆け引きと中盤の手厚く冷静な指し回し

その後第2図に進行。

【第2図は27手目▲3七銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v王 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩v角 ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 銀 歩 ・ 銀 歩 ・|七
| ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 王 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=27 ▲3七銀まで

後手の角上がりの揺さぶりに対し、飛車を4筋に回って受けると今度は角を引かれて8筋を飛車で守らなくてはならなくなり、再度2筋に角を上がられて・・・となると千日手コースに入ってしまい、先手にとっては面白くありません。よって▲3七銀と上がりました。

その後、後手は堂々と玉を2筋に移動。一方の先手は角道を開けて四間飛車に振り直した後、桂を端に跳ねて玉頭攻めの姿勢を貫きました。

ここで△4五歩(第3図)と居飛車側から突くのが習いある手筋です。

【第3図は40手目△4五歩まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v王 ・|二
|v歩 ・ ・v歩v銀v金v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 ・ 銀 歩 桂|七
| ・ ・ ・ 飛 金 王 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=40 △4五歩まで

角交換を迫り、相殺してしまったほうが居飛車は楽になります。先手の玉形が中途半端な一方、後手の金銀が綺麗に密集しているのも強みです。

以下、久保九段が攻め続けるも郷田九段が手厚く冷静な指し回しでそれを受けとめ、優勢に。終盤、久保九段の攻めが完全に息切れしたところで郷田九段が一気の寄せを見せ、1時間の持ち時間を残して快勝しました。

渡辺明二冠が挑戦者に

もうひとつの準決勝は▲菅井竜也七段 対 △渡辺明二冠戦で、渡辺二冠の勝利。振り飛車ファンにとっては残念な準決勝2局となりました。

そして挑戦者決定戦では渡辺二冠が郷田九段に勝利し、挑戦権を獲得しました。


現在名人戦で3連勝中と三冠が目前の豊島将之王位・棋聖と、渡辺棋王・王将の戦いとなった棋聖戦五番勝負。現在の棋界最強を決めるタイトル戦と言っても過言ではないでしょう。

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