この記事は、2005年に書いた記事に加筆修正を加えたものです。
目次
対 4手目△8五歩
第2章の第2節では、初手から▲7八飛△8四歩▲7六歩に対して4手目①△8五歩の変化について解説します。
これに対してはさすがに▲7七角とするしかありません。例えば▲7五歩では、△8六歩▲同歩△同飛とされて飛車成り確定(以下▲7七飛にはもちろん△8七歩)。後手の角筋が開いていないので暴れることができません。
【2017年9月追記、2018年9月更新】驚愕の▲7七飛戦法
定跡は進歩しました(もはやなんでもあり?)。まさか▲7七飛?!(参考図)なんて手があろうとは。
「▲7七飛戦法(無理やり早石田)」と呼ばれており、NHK将棋講座や将棋世界でも取り上げられている有名な戦法ですが、2005年当時は誰一人として気付いていませんでした。
猫だまし戦法講座では、この▲7七飛戦法について、今からあえて追記することはせず、先を急ぎます。どんな戦法か知りたい方は、下記記事を参照ください。
あわせて読みたい
奇襲戦法の基礎知識 ▲7七飛戦法とは
「▲7七飛戦法」とは、先手三間飛車に対して後手が真っ先に飛車先の歩を伸ばしてきたときに、▲7七飛と浮いて飛車先を受ける戦術です。門倉啓太五段は「無理やり早石田」と名付けています。狙いは、一手損してでも石田流に組むことです。
(追記、更新ここまで)
新鬼殺し戦法
さて▲7七角以下△3四歩以外の手なら、▲4八玉から玉を囲いに行くのが「猫だまし」 らしい展開です(もちろん▲6六歩でも構いません)。猫だましの特徴は、角道を通したまま戦える点です。
▲7七角以下△3四歩に対しては、▲6六歩から普通の三間飛車にすることもできますが、ここでも▲7五歩(第1図)と角道を通したまま戦うこともできます。
これは「新鬼殺し」と呼ばれる米長邦雄永世棋聖が考案した戦法で、プロの実戦でも現れています。
まず第1図から△7七角成▲同桂!(▲同飛はダメ)△8六歩とする変化について解説します。
第1図以下の指し手
△7七角成
▲同 桂 △8六歩
▲同 歩 △同 飛
▲7四歩! (第2図)
石田流おなじみの切り返し▲7四歩
簡単に飛車先を突破されてしまったようですが、▲7四歩がうまい切り返し。△同歩は▲9五角(王手飛車)があるので、受けの△6二銀か、攻め合いの△8九飛成くらいですが・・・
まず△6二銀には。
第2図以下の指し手 その1
△6二銀
▲7三歩成 △同 銀
▲6五桂 △6二銀
▲5三桂不成! (第3図)
まで先手良し。△5三同銀には前述の王手飛車があります。
続いて△8九飛成には。
第2図以下の指し手 その2
△8九飛成
▲8八飛! △同 竜
▲同 銀 △8七歩
▲同 銀 △8九飛
▲7八銀 △9九飛成
▲7三歩成 △同 桂
▲5五角! △7二歩
▲1一角成 △3二銀
▲8九歩 (第4図)
まで、手順が長くなってしまいましたが先手良し。
▲8八飛とぶつけて飛車をさばきにいくのが振り飛車の常套手段。△9九竜は▲8一飛成で先手良しなので△同竜とし、再度竜を作りにきましたが、▲5五角が気持ちのよい一手。△6二銀等では▲6五桂(竜当たりで後手は逃げる一手)のあと▲7三桂成が銀に当たっていて攻めが加速しています。よって△7二歩ですが、普通に1一に角を成って先手優勢です。
次回に続きます。
次回
次回
猫だまし戦法講座 第2章・第2節 4手目△8五歩の変化 その2
前回の第1図から△7七角成▲同桂△4五角と進んだ変化について解説します。角成りが受からず先手が悪いように見えますが、新鬼殺し戦法のおそるべきカウンターがここでも炸裂します。第1図以下の指し手▲6五桂△6七角成▲7四歩△同歩▲5五角(第2図)強気に▲6五桂が最善。「両取り逃げるべからず」を実践したとも言えます。2七はソッポなので△6七角成ですが、進んで▲5五角が鋭い一手。先手としては飛車を取られても恐くはありません。
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