将棋の戦法100+αを網羅
「将棋戦法事典100+ (将棋世界Special)」のKindle版を購入しました。ひとくちレビューをお送りします。
タイトルの通り、将棋の戦法を100以上紹介しています。1位から100位をランキング形式で紹介しつつ、番外編にてそれ以外の戦法も紹介する形式です。
表紙を見れば掲載されている戦法の一部がわかります。なお、裏表紙にも同様に数々の戦法名が載っています。
基本はライト層向けだがベテランにも
私は将棋歴がウン十年と長く、「奇襲大全」や「島ノート」(島朗九段 著)などの戦法大全系の棋書も数多く読んできているため知らない戦法は無い自信があった(実際読んでみて知らない戦法はごくわずかでした)ので、もともと購入するつもりはありませんでした。
しかし、「ライト層(いわゆる「観る将」の方々)向けにどのくらい読みやすくしているのだろう」とか、「三間飛車関連の戦法はどのくらい、そしてどのように紹介されているのだろう」というのが急に気になり出し、半分衝動的に購入してしまいました。
結果的には後述のコラムや番外編、また藤井聡太七段のインタビューなどから数多くの新たな発見や気付きを得ることができ、買って良かったと言えます。
振り飛車では三間飛車が最多
将棋情報局やAmazonの本書販売ページで、中身の一部を無料で「立ち読み」することができます。1位のみ公開されており、あのゴキゲンになれる戦法といえばみなさんおわかりでしょう。
それ以外はネタバレになってしまうので紹介は控えますが、独自に1位から100位までを集計し分類した結果、向かい飛車、三間飛車、四間飛車、中飛車の中で、最もランクイン数が多いのは三間飛車だったことだけは紹介させてください。立石流四間飛車(立石式石田流)や4→3戦法、ひねり飛車など飛車を後から三間に振り直す戦法を三間飛車にカウントしなくても三間飛車がトップです。
なお、将棋ウォーズの戦法コレクションでも振り飛車の中では三間飛車が最多となっており、本書での三間飛車のランクイン数も多いであろうことは予測できていました(それを確かめたかった、というのも本書の購入動機の1つです)。
クラシック三間飛車
本書では、角道を止めるいわゆる「ノーマル三間飛車」のことを「クラシック三間飛車」と呼んでいます。一方で、角道を止める四間飛車の方はそのまま「ノーマル四間飛車」と呼んでいます。
「クラシック三間飛車」としたのは、最近の三間飛車は全体的に様変わりしている(角道を止める三間飛車であっても、持久戦模様になると自分から積極的に動いていく)ので、それと区別するため「昔ながらの」三間飛車、ということを強調したかったからのようです。
例えば参考図。
先手も後手も古風な構えです。ここからの振り飛車らしい軽いさばきの手順については、本書のクラシカル三間飛車のページを参照ください。
充実のコラムと番外編と索引
本書は1位から100位のランキング形式での戦法紹介のほかに、コラムと番外編も非常に充実しており、それぞれ20個、8個もあります。もちろん三間飛車や石田流にフォーカスを当てたものもあります。
本書の目次には、1位から100位までの戦法名は掲載されていません。「あの戦法は何位なんだろう」とか「どこに載っているのだろう」という疑問が湧いたときには、巻末の索引を利用するのが便利です。あいうえお順で調べることができます。
観る将、指す将入門者必携の一冊
今のようにライトな将棋ファンが増えてきた状況では、観戦のお供、または「指す将」入門のお供としてこのようなとっつきやすい棋書があるのはとても良いことです。入門者の方は本書をぜひ読んで、お気に入りの戦法を見つけて指してみてください。
また昨年(2018年)あたりから、日本将棋連盟のWebサイト内のオウンドメディアが充実してきており、定跡・戦法・手筋、基礎・勉強法など様々なコラムが数多く掲載されています。
将棋入門者がネット上でも安心して学びやすい環境が整ってきたと言えるでしょう。
余談になりますが、私自身も入門者層向けに本ブログ内に三間飛車戦法関連の基礎知識・定跡まとめを載せています。
日本将棋連盟Webサイト内のオウンドメディアの登場により、私の基礎知識・定跡まとめ記事は役目を終えた感が少しありますが、入門記事に多様性があることは良いことだと思いますので、引き続き細々と続けていくつもりです(三間飛車特化型でいく方針は変わりません)。
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