三間飛車本の発売ラッシュ継続
2019年8月に、新たな三間飛車の棋書が発売されることがわかりました。「三間飛車戦記 2008~2019」です。
著者は小倉久史七段と山本博志四段。「三間飛車新時代」の共著でおなじみの師弟コンビです。
「攻めて勝つ!三間飛車の心得」、「必勝 三間飛車破り」、「下町流三間飛車 居飛穴攻略の新研究(プレミアムブックス版)」、「振り飛車の新機軸!初手▲7八飛戦法」、「次の一手で覚える 三間飛車定跡コレクション414」、「対振り飛車の大革命 エルモ囲い急戦」、「あぴまる流将棋定跡シリーズ 今日から捌ける三間飛車③」、「さわやか流疾風三間飛車」、そして今月(7月)発売の「△3三金型振り飛車 徹底ガイド」と、2018年末から月1冊以上のペースで三間飛車関連本が発売されていますが、2019年夏になってもその勢いは止まりません。


直近約10年の名局、好局に絞って解説
タイトルの通り、本書は2008年から2019年までの約10年間の名局、好局を解説していくスタイルです。
「将棋戦型別名局集4 三間飛車名局集」と似たスタイルですが、三間飛車名局集が1935年から2012年の間の100局を年代順に解説しているのに対し、三間飛車戦記では直近約10年間の対局に絞られているのと、
第1章 ▲7六歩△3四歩▲7五歩
第2章 三間飛車対右四間飛車
第3章 相穴熊
第4章 相三間飛車
第5章 下町流三間飛車
第6章 先手居飛車穴熊対後手三間飛車から四間に振り直し
第7章 三間飛車対居飛車急戦
第8章 最新の三間飛車
と戦型ごとに8つの章に分類されているのが大きな特徴です。
ちなみに第6章のタイトルだけがかなり長くて特殊で、どの戦型のことを指しているのかピンときませんが、対居飛車穴熊の△5三銀型三間飛車、いわゆる「コーヤン流」からの四間飛車振り直し(参考1図)のことを指しているのかもしれません。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v王v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金v銀 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 王 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 △4二飛まで


2019年11月追記:めぐたん流三間飛車
購入して読んでみてわかりました。この「第6章 先手居飛車穴熊対後手三間飛車から四間に振り直し」は、△5三銀型三間飛車にしたあと△6四銀と上がり飛車を三間から四間に振り直す戦術でした(参考2図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v王 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・v銀v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 王 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 △4二飛まで
かつてネット上で「めぐたん流三間飛車」とも呼ばれたことがある戦術です。

(追記ここまで)
指す将にも、観る将にも
この三間飛車戦記の内容紹介には、
本書で現在指されている三間飛車の形はすべて網羅できるはずです。
と書かれています。
本書は、三間飛車の歴史を探訪するというよりも、戦型ごとの進化の過程を辿りながら「今、三間飛車で本気で勝ちに行く」ことをより意識した内容になっているといえるのではないでしょうか。
また、観る将棋ファンの観戦のお供としても重宝されるでしょう。「三間飛車うんちく」を語れるようにもなるはずです。
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