「さわやか流」杉本和陽四段、初の棋書
2019年6月に、若手振り飛車党・杉本和陽四段の初の棋書が発売されることがわかりました。タイトルは「さわやか流疾風三間飛車」です。
杉本和陽四段といえば、約1年前、将棋情報局編集部さんの以下のツイートがありました(山本三段とは山本博志現四段のことです)。
今日は杉本和陽四段と書籍の打ち合わせ。杉本先生がノーマル三間飛車を指し始めたのは山本三段の影響なんだそうです。
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) 2018年6月26日
これが本書の打ち合わせだったかどうかはわかりませんが、いつかは杉本四段の棋書が出るのではないかと推測されていたところで、ついに発売となりました。
「必勝 三間飛車破り」に真っ向から対立
本書では、対エルモ囲い(参考1図)と対居飛車穴熊(参考2図)の戦術を解説しています(いずれも参考図です)。
2019年1月に発売された「必勝 三間飛車破り」(畠山鎮七段 著)が、エルモ囲い急戦と居飛車穴熊でノーマル三間飛車を破る戦術を解説していたので、意趣返しというわけではないでしょうが、これに真っ向から対立する内容となっているのが面白いところです。
エルモ囲い対策を解説する初の棋書
本書の内容紹介から一部引用させていただきます。
居飛車穴熊には左銀速攻やトマホーク。エルモ囲いには玉頭の揺さぶりや手厚い布陣で対抗します。特にエルモ囲いは新しい戦術で、まだ手探り状態の方が多いのではないでしょうか。
本書では、何を指針に指せば良いのか。どこが弱点なのか。1ページに3図ずつ使って徹底的に解説しました。
最強の囲い・居飛車穴熊に対する戦術を新進気鋭の若手振り飛車党が解説していることに価値があるのはもちろんですが、ここ最近ではエルモ囲いに対する戦術を誰しもが知りたいところであり、エルモ囲い対策が本書で最も注目されるところではないでしょうか。私の記憶が確かならば、エルモ囲い対策を解説する棋書は、本書が初めてです。
内容紹介にある通り、ガチガチの手順だけでなく戦い方の指針や相手の陣形の弱点も解説しているので、三間飛車党だけでなく、四間飛車党など全振り飛車党に役に立つ内容になっていることでしょう。できれば、終盤戦でのエルモ囲いの崩し方のコツも解説されているとうれしいところですが、はたして。
本書の目次
本書の目次は以下の通りです。
第1章 左銀速攻
第1節 △1一玉型
第2節 △5五歩型
第3節 △4四歩型
第4節 △4四銀型
第2章 トマホーク
第3章 エルモ囲い急戦
三間飛車党・山本博志四段も注目
杉本四段の本書発売には、「生涯三間飛車党」・山本博志四段も反応しており、Twitterで「なななんと!?!?絶対買いましょう。私は買います。買いますよね?」とツイートしています。また、冗談で以下のようにもツイートしています。
杉本先輩の三間飛車本はさわやか流との事ですが、さわやかなのは杉本さんだけで杉本さんの将棋は泥沼流とも言える粘り強い将棋ですよね。
さわやかと泥沼、両方の要素が学べる本になっているのではないでしょうか?😇— 山本 博志 (@yamahiro3ken) April 26, 2019
本書をきっかけに、杉本四段の棋風が「さわやか流」と呼ばれるようになるかもしれません(終盤は泥沼流と呼ばれるかはさておき)。
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