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相振り飛車の定番の戦型
昔は相振り飛車といえばコレ(または相三間飛車)というくらい、先手向かい飛車VS後手三間飛車(第1図)は相振り飛車の定番の戦型です。
今でも知られている相振り飛車の名著「相振り革命」(杉本昌隆八段 著)シリーズの第1巻、「相振り革命―相振り飛車の極意」(1994年発売)では、ほぼすべて三間飛車VS向かい飛車を解説しており、わずかに三間飛車VS四間飛車があるのみです。
また、第2巻「新相振り革命―相振り飛車の教科書 」(2000年発売)でも、研究編全4章のうち半分が三間飛車VS向かい飛車で、残りは相三間飛車と相向かい飛車になっています。
向かい飛車人気の理由
居飛車VS振り飛車の対抗形で多い四間飛車でなく、向かい飛車が人気となっている理由は、相振り飛車では相手がいずれ7筋か8筋に玉を囲うことになるため、6筋よりも8筋に飛車がいたほうが相手玉へのあたりが強いからです。
他にも、四間飛車に比べて以下のような長所があります。
POINT
- 四間飛車よりも向かい飛車の方が攻撃の布陣を整えやすい(棒銀や端攻めを絡めた布陣など)
- 玉飛接近を避けられる(相振り飛車では玉が3筋にいることも多いため、四間飛車だと玉が近い)
減少傾向だが
しかし3手目▲6六歩の減少に合わせて減少傾向にあります。
3手目▲6六歩が減ったのは、後手に居飛車で居飛車穴熊を目指されても不満なうえ、このように三間飛車にされても不満というのが現在の通説(定跡)となっており、居飛車党、振り飛車党どちらを相手にしても面白みが無くなってしまったからです。
とはいえ女流棋戦では今でもしばしば見られます。
三間飛車側の戦術
最近(2010年代)の三間飛車側の戦術としては、菅井竜也七段が奨励会員時代に編み出した元祖・菅井流(第2図)と、左銀速攻型(第3図)が有名です。
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先手三間飛車VS後手向かい飛車も
3手目▲7五歩に4手目△4四歩と角道を止めるオープニングから、先手三間飛車VS後手向かい飛車に進むこともあります(第4図)。
後手三間飛車のときに比べ1手多く指せるので、先手三間飛車ではより満足に戦えます。
しかし3手目▲7五歩に△1四歩〜△5四歩から角道オープン向かい飛車に組む戦術は優秀とされており(第5図)、三間飛車側の駒組みに工夫が求められています。
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