目次
白ビール、第80期名人戦第5局のライブ中継に採用
2022年春に行われた第80期名人戦は、渡辺明名人が斎藤慎太郎八段の挑戦を4勝1敗の成績で退け、防衛を果たしました。
毎日新聞
第80期名人戦 | 毎日新聞
渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する第80期名人戦を特集します。棋譜中継は「棋譜・対局結果」からご覧いただけます。
この決着局となった第5局にて、毎日新聞社のライブ中継に採用されたのが、白ビールでした。
48's diary
第80期名人戦第5局@倉敷 - 48's diary
本記事は主催メディアの興行を阻害しないよう速報性を失ってから公開しています。 ーーー 2022年5月28・29日(土・日)倉敷市芸文館において第80期名人戦第5局が開催されま...
白ビールは、昨年から将棋連盟アプリの勝率とAI形勢グラフ表示に使用されています。
あわせて読みたい
将棋連盟ライブ中継アプリが勝率とAI形勢グラフ表示に対応
将棋ファンにおなじみの将棋連盟ライブ中継アプリ。このアプリが2021年夏のアップデートで、AIによる勝率表示に対応しました。
2022年5月に行われたWCSC32では兄弟ソフトの「二番絞り」が準優勝を果たすなど、安定した成績を残し続けている白ビール。今後も棋戦の中継に採用されることでしょう。
・・・と、数日かけて本記事をちびちびと書いているうちに、さっそく今度は朝日新聞による順位戦中継(第81期順位戦A級開幕局、▲永瀬拓矢王座 対 △豊島将之九段戦)で白ビールが採用されました。
ノーマル三間飛車VS四枚美濃
将棋倶楽部24でのHefeweizen(白ビール)の将棋を一局紹介させていただきます。
先手・Hefeweizenのノーマル三間飛車▲6七銀型に対し、後手は天守閣美濃から四枚美濃に組み換える戦術を採用しました(第1図)。
△4四銀から△3一角と引いて△8六歩を狙うのが、四枚美濃の基本戦術のひとつです。
第1図以下▲4七金と不用意に上がってしまうと、△8六歩▲同歩△同角▲8八飛△7七角成▲8二飛成△6七馬(参考1図)の強襲が成立し、振り飛車が不利になります。
本譜は▲8八飛と無難に先受けました。
中央からの仕掛け
少し進んで第2図。
後手のガチガチの四枚美濃に対し、先手は無策にも思える平凡な布陣です。しかしHefeweizenはここからの指し回しが華麗です。
第2図以下の指し手
▲5五歩 △7三桂
▲5六銀 △9四歩
▲3七桂 △9五歩
▲4五歩 △同 歩
▲5八飛 △8六歩
▲5四歩 △8七歩成
▲5五角 (第3図)
Hefeweizenは▲5五歩と中央から動いていきました。続く△7三桂に▲5六銀が、△6五桂を受けつつ好形に構える味の良い一手です。
その後右桂を跳ねて4筋の歩を突き捨てたあと、頃はよしと見て▲5八飛と転換。△8六歩に手抜いて▲5四歩と取りこみ、△8七歩成に▲5五角。角取りを交わしながら天王山へと角を移動する、なんとも気分の良い一手です。
天守閣美濃の弱点
さらに進んで第4図。
先手の飛車の利きを悪くするために虎の子のと金を捨てる非常手段ですが、Hefeweizenは構わず攻めます。
第4図以下の指し手
▲3四銀! △同玉
▲5三飛成 △同金
▲5六角 (第5図)
▲3四銀!が鮮烈な一手で、△同金にはもちろん▲5三飛成。本譜は△同玉でしたがやはり▲5三飛成から▲5六角で綺麗に王手龍取りがかかりました。
天守閣美濃の3四(7六)の地点は急所になりやすい位置です。似た形で、先日行われた第32回世界コンピュータ将棋選手戦(WCSC32)での勝った方が優勝という大勝負、▲二番絞り VS △dlshogi with HEROZ戦でも、▲8七玉型に対して7六の地点が急所になりました(参考2図)。
あわせて読みたい
WCSC32 dlshogi優勝 谷合四段のpreludeは独創賞を受賞
2022年5月3日から5日にかけて行われた、第32回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC32)にて、「dlshogi with HEROZ」が優勝を飾りました。おめでとうございます。
天守閣美濃の玉に対するこのような「コビン攻め」を常に頭の片隅に置いておくと、妙手順が思い浮かぶかもしれません。
関連記事
あわせて読みたい
Hefeweizen、振り飛車党に転向?して将棋倶楽部24に参戦中
2018年5月に行われた第28回コンピュータ世界コンピュータ将棋選手権(WCSC28)で優勝した、Hefeweizen。ドイツ南部の酵母入りビールで、濁った白ビールだそうです。このHefeweizenがWCSC28で優勝して以降、異なるスペックだそうですが将棋倶楽部24に参戦しています。
あわせて読みたい
【2022年5月更新】将棋AI・ソフト関連記事まとめ
コンピュータ将棋ソフトの三間飛車に注目した記事をまとめました。このまとめページへは、PCブラウザなどの大画面ではサイドバー、スマートフォンなどの小画面では画面下の方にあるリンクから、いつでもアクセスすることができます。
コメント