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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

山崎八段、再びパックマンで西川六段の三間飛車に勝利 NHK杯

パックマン
目次

「NHKプラス」本格スタート

2020年4月12日に放送されたNHK杯テレビ将棋トーナメント、▲西川和宏六段 対 △山崎隆之八段戦。

棋譜は、NHK杯のWebサイトで無料で観ることができます。

余談ですが、NHK将棋フォーカスのWebサイトを見に行ったときにサイトがパワーアップしていることに気付きました。

見逃し配信サービスが統合されています。

これは2020年4月1日に「NHKプラス」が本格的にスタートしたためです。とても便利なサービスだと思います。

NHKの地上放送のテレビ番組をインターネットで同時に配信する「常時同時配信」と、それらの番組を放送終了から1週間、いつでも視聴できる「見逃し番組配信」のサービス「NHKプラス」が、1日から本格的に始まりました。

西川六段VS山崎八段

さて、練習将棋を1000局以上指しているという気の知れた西川和宏六段と山崎隆之八段。

西川六段は角道を止めるノーマル三間飛車(特に▲5七銀型)を得意とする振り飛車党です。

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藤井聡太七段、西川六段の石田流組み換えに袖飛車で勝利 王位戦 第61期王位戦予選、▲西川和宏六段 対 △藤井聡太七段戦。言わずと知れた藤井七段に対し、西川六段は三間飛車を多用する振り飛車党。順位戦はC級2組在籍であるものの、竜王戦では2組に在籍し、10月21日に行われた竜王戦で斎藤慎太郎七段戦に勝利していれば1組に昇級していた、という「ねじれ」状態にある棋士でもあります。

一方の山崎八段戦は、とりわけ対振り飛車で独創的な構想を披露することでおなじみの力戦居飛車党です。

パックマン、ふたたび

持ち時間の短いこのNHK杯戦にて、山崎八段がまたしてもやってくれました。奇襲戦法の「パックマン」です。

山崎八段は2020年3月23日に行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦、△久保利明九段戦でもパックマンを披露していました。

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山崎八段、パックマンで久保九段のノーマル三間飛車に勝利 棋聖戦 2020年3月23日に行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント、▲山崎隆之八段 対 △久保利明九段戦。振り飛車党との対局ではとりわけ独創的な序盤戦術を見せる山崎八段。将棋連盟ライブ中継アプリでの対局中継で、山崎八段はここ最近4局連続で振り飛車党と対戦しており、いずれも衝撃的な序盤戦術を披露しています。

このとき久保九段は歩の餌に食い付かなかったため、力戦ではありましたが乱戦と言えるほどではありませんでした。

一方、西川六段は歩に食い付いたものだから大変です。序盤から馬と龍を作り合う、とんでも無い乱戦となりました。

西川六段戦の方が先か

西川六段戦の放送日(4月12日)は、久保九段戦の対局日(3月23日)よりだいぶ後ですが、感想戦での「本局の作戦をいつ思い付いたか」についての山崎八段のコメントから、西川六段戦の「収録」(つまり対局日)は久保九段戦よりも前だったようです。

プロ棋士が小一時間考えればよほどの落とし穴にハマることは無いとはいえ、注目されるテレビ対局でほぼ思い付きに近い状態でその作戦を採用してしまうのだから、山崎八段の冒険心には驚かされます(山崎八段の感想戦コメント自体も思い付きの感がありますが(笑))。

見応えたっぷりの感想戦

このほか、西川六段が歩に食い付いた手に対し「1秒も読んでいなかった」と感想戦であっけらかんとコメントする山崎八段。

しかしその実、取られた場合の切り返しの構想や、通常のパックマン定跡(参考図。初手から▲7六歩に△4四歩?!)に比べて本譜のパックマン側が優っている理由を披露するなど、本当は読んでいたのでしょう(当たり前ですが)。

【参考図は2手目△4四歩まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=2 △4四歩まで

そしていろいろ読み筋を披露しながらも結局序盤で悪くなっていることについてはもはや訳がわかりません(笑)。

結局逆転勝ちする山崎八段

山崎八段の魅せる将棋の極め付けは、持ち前の「ちょいワル逆転術」で最終的に逆転してしまうところでしょう。感想戦でも、形勢が好転したと感じた局面などを素直に語ってくれていました。

2017年度の第67回NHK杯で優勝するも、2018年の第68回ではベスト16止まりで、昨年度(2019年度)の第69回では悔しい初戦負けを喫していた山崎八段。

無事初戦を突破したこの第70回NHK杯で今後どのような活躍をするか、注目です。

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