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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

VS右四間かんたん講座 第3章・第1節 基本形までの指し手 その1

右四間飛車
目次

王道の急戦形

第2章で説明した「VS超急戦」は、一般的にはほとんど指されない、アブノーマルな戦型といえます。

この第3章では、VS右四間飛車の基本形である、「VS急戦」(参考1図)について説明します。

【参考1図は▲3八銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・v飛 ・ ・v王v角 ・|二
|v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 銀 金 ・ 銀 王 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=17 ▲3八銀まで

いきなり参考1図からはじめる前に、この図までの手順について説明しておきます。図までの道中には、先手の駒組みの順番および様々なタイミングでの△6五歩の変化などがあり、変化手順は多岐におよぶためです。これを第1節「基本形までの指し手」とします。

初手からの指し手
▲7六歩  △3四歩
▲6六歩  △6二銀
▲7八飛  △6四歩(第1図)

【第1図は△6四歩まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=6 △6四歩まで

第2章「VS超急戦」では4手目は△6四歩でしたが、第3章「VS急戦」では△6二銀となります。これは、右四間以外の戦法にする含みを残した、後手としてはごくごく自然な一手です。

△6二銀と上がったことにより、△6四歩が一手遅れ、かつ△6二飛とすぐに回る筋が消えるため、第2章で説明してきたような後手からの超急戦右四間は無くなります。

5手目▲7八飛に対し△6四歩(第1図)と右四間の態度を示すことで、先手三間飛車VS後手右四間飛車基本形への第一歩となります。なお、第2章で説明した初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△6四歩▲7八飛のところで、後手が△6五歩や△6二飛~△6五歩と仕掛けてこずに△6二銀としても、同じ形になります。

第1図以下の指し手

第1図からは、主に以下の4通りの指し手が考えられます。

①▲7五歩 (参考2図)
②▲4八玉 (第2図)
③▲5八金左
④▲6八銀

まず①▲7五歩(参考2図)以下の展開については、「石田流の極意―先手番の最強戦法」(鈴木大介九段 著)で詳細に述べられています。

【参考2図は▲7五歩まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=7 ▲7五歩まで

先手は石田流に組んで右四間を迎え撃つことになり、十二分に戦えます。この変化についてはこの棋書を参照していただくことにして、本講座からは割愛します。

②▲4八玉の変化

残る②、③、④の3つは、いずれも普通の三間飛車で戦う戦型となり、基本的に差はありません。が、②▲4八玉(第2図)のみ6七の地点にひもがついていないので、後手としては②のときはこのタイミングで△6五歩と突いてきたくなるかもしれません。

【第2図は▲4八玉まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ 王 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=7 ▲4八玉まで

この迎撃方法について説明しておきます。第2章でも何度も紹介した通り、これには切り返しの角打ちで問題ありません。

第2図以下の指し手
      △6五歩
▲同 歩  △8八角成
▲同 飛  △6七角
▲7七角  (第3図)

【第3図は▲7七角まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 角v角 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 飛 ・ ・ ・ 王 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 
手数=0 ▲7七角まで

最後の▲7七角は、6六でも5五でも構いません。6二の銀が邪魔で飛車の横利きが止まっているため、△2二銀として角成りを防ぐことができません。

△6二銀の形では、△6五歩からの仕掛けは成立しない、というのが一般的です。かといって、5手目△6七角に代わって角成りを受ける(△3二銀や△6三銀)ようでは、先手にも▲5八金と受けられて後手の大失敗は明らかです。

さらに突っ張る▲3八玉の変化

というわけで、第2図では後手は△6三銀とするのが自然な一手。続いて先手が▲5八金左または▲6八銀とすれば、③、④と結局同じになり、何の問題もありません。しかしさらに突っ張って▲3八玉(第4図)とすることもできます。

【第4図は▲3八玉まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ 王 ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0 ▲3八玉まで

△6三銀の形(飛車の横利きが通っている)で△6五歩と突かれる可能性があるので、なんとも危険な感じですが、例えば平成13年順位戦、久保-石田戦(段位・敬称略)で、久保先生はこの②▲4八玉→▲3八玉を用いています。

わざわざ波乱の変化の余地を残す手順を選ぶ必要はありませんが、一応この第4図についても説明しておきます。次回に続きます。

次回

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