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久保九段のロングインタビュー
2019年6月、文春オンラインに久保利明九段のロングインタビュー3本が掲載されました。
それぞれとても長いインタビューで、参考に載せた以下のトピックスもすべてを紹介し切れてはいません。
2016年度の順位戦A級最終局の話、久保九段の奨励会時代の話、立石径・元奨励会三段の話などなど。
王将戦の話、戦法の流行の話、羽生九段の四間飛車の話、藤井聡太七段戦のノーマル四間飛車の話などなど。
りゅうおうのおしごと!の話、護摩行の話、北斗の拳の話、故・村山聖九段の話、コンピュータ将棋ソフト、ハニーワッフルの話などなど。
久保九段ファン、そして振り飛車党の方々は、ぜひ読んでみると良いでしょう。
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久保王将の三間飛車藤井システムVS渡辺棋王のトーチカ囲いに 王将戦第4局
2019年2月24日に開始した、第68期王将戦七番勝負第4局(二日制)、▲久保利明王将 対 △渡辺明棋王戦。三連敗で後がない久保利明王将は、この第4局で本シリーズ初の三間飛車を採用。その後三間飛車藤井システムの布陣に構えました。
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WCSC29 振り飛車党・HoneyWaffle、勝ち越すも二次予選敗退 優勝はやねうら王
第29回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC29)は、既報の通りやねうら王の優勝で幕を閉じました。決勝に残った8チームは、いずれも居飛車党。そんな中、WCSC29にも振り飛車党として参戦したのがHoneyWaffleでした。
インタビュアーは白鳥士郎氏
インタビュアーは、ライトノベル「りゅうおうのおしごと!」の作者としておなじみの白鳥士郎氏です。
白鳥氏のインタビュー記事といえば、先日永瀬拓矢新叡王誕生で幕を閉じた第4期叡王戦の本戦トーナメントの開始前に公開された、『叡王戦「24人の棋士」白鳥士郎 特別インタビュー』も話題を集めました。
将棋界で今最も勢いのあるインタビュアーなのではないでしょうか。
久保九段の4→3戦法
久保九段のインタビュー記事を紹介した流れで、先月久保九段が4→3戦法を採用した将棋を紹介します。
2019年5月22日に行われた第67期王座戦、▲渡辺明二冠 対 △久保九段戦で、棋譜と詳しい解説は将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
後手番となった久保九段は、まず角道オープンのまま△4二飛と飛車を振りました(第1図)。
ここから角交換四間飛車かノーマル四間飛車に進むのが一般的ですが、このあと久保九段は△3五歩と着手(第2図)。
おそらく△3二飛から△3四飛の構想も描いていたことでしょう。
4→3戦法は正確には△4二飛のあと△3五歩の前に△3二飛ですが、△3五歩も「3」なので広義の4→3戦法とみなしました。
あるいは、△3五歩→△4二飛→△3二飛の順番で指す「3・4・3戦法」の方に近いとも言えるかもしれません。
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VS角交換拒否型
しかしこれに対し渡辺二冠は角道を止める手を選択。
以下△3二飛だと▲2四歩があり、△3三角だと△3五歩とのバランスが悪いためどうするのか、という局面ですが、面白い展開に進みました(第3図)。
力強い金の前進です。
渡辺二冠、玉頭の攻防で圧倒
長い中盤戦の後、渡辺二冠が玉頭から手を作りにいったのに対し、久保九段にわずかなミスが生じました。
並の棋士ならとがめられずそのまま見過ごされていたでしょうが、渡辺二冠は許さず優勢に。
以下、終始安定した指し回しで渡辺二冠が勝利。王座戦挑戦者決定トーナメントのベスト8に進出しました。
敗れた久保九段ですが、インタビューで語っている不屈の闘志を持ち続けて、ふたたびタイトル戦の舞台に戻ってくることを願っています。
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