西田五段、最終局を残して昇級を決める
2022年2月10日に行われた第80期順位戦C級2組にて、三間飛車を多用する振り飛車党・西田拓也五段が、本田奎五段に勝利し、9連勝で最終局を残してC級1組への昇級を決めました。おめでとうございます。
詳しい棋譜と解説は、名人戦棋譜速報、または将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
また本局は、Youtubeの囲碁将棋TV -朝日新聞社-でライブ中継されました。以下の動画で73手目から終局(123手目)までを観ることができます。
9局中7局で三間飛車を採用
若手棋戦の加古川清流戦での優勝経験を持つ西田拓也五段。
最近では、2020年度の第14回朝日杯将棋オープン戦にてベスト4に残る活躍を見せ注目を浴びました(なおこの時の優勝者は藤井聡太二冠(当時))。
2019年には将棋世界2019年9月号の付録「定跡次の一手 令和の三間飛車対急戦」を執筆しています。
2年前の第78期順位戦では8勝2敗の5位で惜しくも昇級を逃した(上位3名が昇級)西田五段でしたが、今期は開幕から無傷の9連勝で、最終局を残して文句なしの昇級を決めました。
今期、井出隼平五段、中田功八段、石川優太四段ら振り飛車党との対戦もありましたが、振り飛車を譲って居飛車を採用することはなく、振り飛車を貫きました。9局中7局でノーマル三間飛車を採用しています(残り2局のうち1局は四間飛車、もう1局は相振り飛車で駆け引きの末向かい飛車を採用)。
三間飛車の中身もバラエティに富んでおり、ノーマル三間からの石田流組み換えはもちろん、居飛車穴熊5筋不突き型に対するいわゆる「マッスルトマホーク」(下記ひとくちレビュー参照)や、銀冠に対する地下鉄飛車、対居飛車金無双急戦、対三歩突き捨て型急戦(未遂)などの将棋もあり、見応え十分でした。
昇級を決めた本田五段戦では、居飛車穴熊相手にノーマル三間+美濃囲いから銀冠→石田流組み換えと発展。本田五段の攻めをいなし、竜の力と端攻めの組み合わせで穴熊の金銀を相手にしない緻密な寄せを披露しました。
昇級インタビュー
冒頭に紹介した囲碁将棋TV -朝日新聞社-にて、昇級を決めた対局直後のインタビュー動画も公開されています。
有終の美&来期の活躍に期待
西田五段の今期順位戦最終局の相手は、石田直裕五段。西田五段の振り飛車VS石田五段の居飛車、の対抗系になるのは間違いないでしょう。西田五段が最終局も勝って10連勝とし有終の美を飾ることができるか、注目しています。
また、来期の順位戦C級1組でも、三間飛車を多用し活躍してくれることを期待しています。
追記:全勝昇級ならず
2022年3月10日に行われた今期順位戦最終局にて、西田五段はやはり三間飛車を採用したものの敗北。残念ながら10連勝とはなりませんでした。
なお、残る2名の昇級者は渡辺和史四段と伊藤匠四段となりました(両者とも順位戦C級1組昇級の規定により五段に昇段)。おめでとうございます。
追記:第5回ABEMAトーナメントに出場
順位戦をはじめとする活躍が買われ、第5回ABEMAトーナメントにて西田五段が糸谷哲郎八段に指名され、チーム糸谷として出場することになりました。おめでとうございます。
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