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大橋貴洸四段、YAMADAチャレンジ杯優勝
2018年8月19日に行われた第3回YAMADAチャレンジ杯決勝、▲大橋貴洸四段 対 △近藤誠也五段戦にて、大橋四段がノーマル三間飛車を採用して近藤五段に勝利し、優勝を飾りました。
棋譜と詳しい解説は、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
ノーマル三間飛車VS銀冠
先手番となった大橋四段は、普段は居飛車党であるにも関わらず、決勝の大舞台で意表のノーマル三間飛車を採用しました(第1図)。
この局面は、「三間飛車新時代」(小倉久史七段と山本博志奨励会三段(現四段)の共著)にも登場しており、現代的な布陣です。
大橋四段の振り飛車は珍しいとはいえ、2018年4月22日に放送された第68回NHK杯将棋トーナメント、三浦弘行九段戦で後手ノーマル四間飛車を採用していたり(参考1図。玉頭攻めを成功させて大橋四段の勝利)、2017年3月23日に行われた第43期棋王戦、藤井聡太四段戦で後手ノーマル三間飛車を採用していたり(参考2図。△5四銀の揺さぶりからかなけんシステムを採用するも敗北)と、裏芸でたまに振り飛車を採用しています。
さて、本譜は第1図から△3二銀とし後手は銀冠に組み替えました(第2図)。
先手の布陣は、玉の移動よりも右桂の攻撃参加を優先させた、なんとも現代的で攻撃的な布陣です。
飛車を戦いが起こる筋へ
第2図以下の指し手
△6四歩
▲5六銀 △5二金
▲2六歩 △6三銀
▲6八飛 (第3図)
戦いが起こりそうな筋へ飛車を移動して活用やさばきを狙うのは、振り飛車の常套手段です。
少し進んで第4図。
後手は先手からの玉頭攻めのプレッシャーに屈し、2二にいた玉を3一に引いて手損しています。
第4図以下の指し手
△7五歩
▲同 歩 △7二飛
▲7八飛 △7五飛
▲6七銀 △7四飛
▲6五歩 (第5図)
△7五歩からの袖飛車の仕掛けに対し、先手は再び飛車を7筋へ。振り飛車の常套手段が再度現れました。後手玉が3一にいるため、大駒交換の大さばきは振り飛車ののぞむところです。続きは将棋連盟ライブ中継アプリでご覧ください。
第5図以下、華々しい中終盤の戦いが繰り広げられた末、119手で大橋四段の勝ちとなりました。現代的な布陣で、三間飛車の優秀性が現れた一局といえるでしょう。
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