藤井聡太四段、公式戦10連勝目の1局
昨年12月30日、将棋連盟ライブ中継アプリにて、好局振り返りとして2017年3月23日に行われた第43期棋王戦予選、藤井聡太四段 対 大橋貴洸四段戦が取り上げられていました。
この1局は、藤井四段にとって2016年度最終戦であり、NHK杯予選も含めれば公式戦デビューから10連勝目の1局でした。
大橋貴洸四段のかなけんシステム
この1局で、大橋四段はノーマル三間飛車を採用。
対する藤井四段は居飛車穴熊を目指しました(第1図)。
第1図の▲9八香を見て、大橋四段は△5四銀と上がり揺さぶりをかけます。
そして△3五歩〜玉の整備〜△5一角の後、3筋から仕掛けを決行(第2図)。
△3五歩と位を取りますが浮き飛車にせず、左銀と組み合わせての仕掛け。
「三間飛車新時代」(小倉久史七段、山本博志三段 著)の第5章「△5四歩型対▲5六銀揺さぶり」(三間飛車が先手)で詳しく解説されている構想で、「かなけんシステム」とも呼ばれています(「三間飛車新時代」のコラムで、山本三段も「カナケンシステム」という名称を載せています)。
詳しく知りたい方は、この「三間飛車新時代」の第5章や、古い定跡書では「三間飛車道場 第2巻 居飛穴VS4三銀」の第3章「▲5六歩早突き居飛車穴熊」(三間飛車が後手)を参照ください。
四段昇段同期のふたり
結果は既報の通り、入玉模様の大橋玉を捕まえて藤井四段の勝利。
藤井四段と大橋四段は、第59回奨励会三段リーグ戦(2016年4月~2016年9月)で同時に昇段した同期でもあり、2017年末時点で早くも3回対戦し藤井四段から見て2勝1敗。
また2017年12月10日時点の2017年度勝率ランキングで、藤井四段は勝率0.824で1位、大橋四段は勝率0.795で4位と、両者とも素晴らしい成績を残しています(2位は同じく勝率0.824の永瀬拓矢七段、3位は勝率0.806の豊島将之八段)。
年齢が若く伸び代がありすぎる藤井四段に対し、大橋四段がどこまで並走していけるか、注目したいと思います。
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