藤井聡太四段、四段戦予選トーナメント優勝
第3期叡王戦、段位別予選の四段戦決勝にて、藤井聡太四段が杉本和陽四段に勝利し、本戦トーナメント進出を決めました。
久保システムやトマホーク含みの駒組み
杉本四段は、過去の記事「杉本和陽四段、石田流と久保システムで連勝 叡王戦」で紹介した通り、1回戦、2回戦を三間飛車で突破。続く3回戦の高野智史四段戦、そして決勝と同日の午前に行われた三枚堂達也五段戦も三間飛車で勝利しています。
決勝の藤井四段戦でもやはり三間飛車を採用しました。
居飛車穴熊を牽制すべく、居玉を維持したまま、久保システム(三間飛車藤井システム)やトマホーク含みで早めの△4三銀上がりや端歩を突く序盤戦術をとります(第1図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v王v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 王 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=14 △9四歩まで
腰掛け銀からの▲4五歩早仕掛け
この構えに対し居飛車は、振り飛車の居玉を逆手にとって急戦策をとりたくなるところ。
藤井四段が選んだ急戦策は、▲4六歩からの腰掛け銀(▲5六銀)でした(第2図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v王 ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 王 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=21 ▲5六銀まで
しかも第2図以下△5四歩に対し、▲2四歩!△同角▲4五歩!△4二飛▲3五歩!(第3図)と、右桂の攻撃参加なしでいきなり仕掛けていきました。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v王 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩v角 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 王 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲3五歩まで
なお、準決勝の三枚堂五段 対 杉本四段戦も腰掛け銀からの類似の仕掛けでした(第4図)。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v王v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v銀 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 王 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲4五歩まで
こちらは▲7九玉型左美濃となっており、さらに現代風です。
後手が△4三銀と上がる前に▲7八銀と上がり、それを見て△6二玉から囲いを急いだこともあり、結果的に△5三銀型となっています。
藤井四段の仕掛けと同じく、右桂を攻撃参加させていないのが印象的です。
▲4五歩早仕掛けの筋は、NHK将棋講座テキスト2017年10月号(三間飛車藤井システムの特集号)にも出てきており、振り飛車が十分に戦えると解説されていますが、そこで解説されている形は、▲5六歩+▲5七銀型での▲4五歩早仕掛けであり、本譜とはかなり異なります。
いずれにせよ、これら様々な▲4五歩早仕掛けへの対応が、久保システム(三間飛車藤井システム)の課題といえます。
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藤井四段と杉本四段のさらなる活躍に期待
結果は、藤井四段の勝利。初タイトルに向けて、決勝トーナメントでのさらなる活躍が楽しみです。
三間飛車党としては、杉本四段の敗戦は残念ですが、また別の棋戦での活躍に期待したいと思います。
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