目次
藤井聡太四段、四段戦予選トーナメント優勝
第3期叡王戦、段位別予選の四段戦決勝にて、藤井聡太四段が杉本和陽四段に勝利し、本戦トーナメント進出を決めました。
久保システムやトマホーク含みの駒組み
杉本四段は、過去の記事「杉本和陽四段、石田流と久保システムで連勝 叡王戦」で紹介した通り、1回戦、2回戦を三間飛車で突破。続く3回戦の高野智史四段戦、そして決勝と同日の午前に行われた三枚堂達也五段戦も三間飛車で勝利しています。
決勝の藤井四段戦でもやはり三間飛車を採用しました。
居飛車穴熊を牽制すべく、居玉を維持したまま、久保システム(三間飛車藤井システム)やトマホーク含みで早めの△4三銀上がりや端歩を突く序盤戦術をとります(第1図)。
腰掛け銀からの▲4五歩早仕掛け
この構えに対し居飛車は、振り飛車の居玉を逆手にとって急戦策をとりたくなるところ。
藤井四段が選んだ急戦策は、▲4六歩からの腰掛け銀(▲5六銀)でした(第2図)。
しかも第2図以下△5四歩に対し、▲2四歩!△同角▲4五歩!△4二飛▲3五歩!(第3図)と、右桂の攻撃参加なしでいきなり仕掛けていきました。
なお、準決勝の三枚堂五段 対 杉本四段戦も腰掛け銀からの類似の仕掛けでした(第4図)。
こちらは▲7九玉型左美濃となっており、さらに現代風です。
後手が△4三銀と上がる前に▲7八銀と上がり、それを見て△6二玉から囲いを急いだこともあり、結果的に△5三銀型となっています。
藤井四段の仕掛けと同じく、右桂を攻撃参加させていないのが印象的です。
▲4五歩早仕掛けの筋は、NHK将棋講座テキスト2017年10月号(三間飛車藤井システムの特集号)にも出てきており、振り飛車が十分に戦えると解説されていますが、そこで解説されている形は、▲5六歩+▲5七銀型での▲4五歩早仕掛けであり、本譜とはかなり異なります。
いずれにせよ、これら様々な▲4五歩早仕掛けへの対応が、久保システム(三間飛車藤井システム)の課題といえます。
関連記事
あわせて読みたい
NHK将棋講座テキスト2017年10月号 ひとくちレビュー
NHK将棋講座テキスト10月号(Kindle版)を購入しました。ひとくちレビューをお送りします。購入の決め手は、なんといっても「三間飛車藤井システム」の解説が載っていることです。
あわせて読みたい
NHK将棋フォーカス 2017年10月のテーマは三間飛車藤井システム
2017年10月から来年3月までの半年間、NHK将棋フォーカスの講座の講師が佐藤和俊六段になります。聞き手は9月までと変わらず室谷由紀女流二段です。メインタイトルは、「カズトシ流 主導権をにぎる振り飛車」。そして10月のテーマが「後手番で緩急自在 三間飛車藤井システム」です。三間飛車党は必見でしょう。
藤井四段と杉本四段のさらなる活躍に期待
結果は、藤井四段の勝利。初タイトルに向けて、決勝トーナメントでのさらなる活躍が楽しみです。
三間飛車党としては、杉本四段の敗戦は残念ですが、また別の棋戦での活躍に期待したいと思います。
コメント