2021年1月追記 騨奎紫(たけし)登場
2021年1月、振デレラを超えるとみられる新たな振り飛車評価関数「騨奎紫(たけし)」が登場しました。
(追記ここまで)
「振電2」(仮称)が公開されない理由
2019年5月に行われた第29回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC29)で第7位に入り、翌年5月に行われた世界コンピュータ将棋オンライン大会(WCSOC2020)で優勝を果たした水匠。
この水匠の開発者・たややんさんが開発した振り飛車評価関数が、「振電」および「振電改」です。
振電は水匠と、振電改は水匠改とほぼ同じタイミングでリリースされましたが、2019年12月に水匠改2がリリースされたときに、「振電改2」(仮称)はリリースされませんでした。
たややんさんが居飛車評価関数の作成に注力したかったというのが一番の理由でしょう(その甲斐あってのWCSOC2020優勝かもしれません)が、ほかの理由として、「振デレラが優秀だから」というのもあったかもしれません(2019年9月時点のツイートは以下の通り)。
なお、振り飛車評価関数は公開するクオリティに達していない(振デレラが素晴らしい。)ため、少し頓挫中です。ほんとう難しいですね!
— たややん@水匠(COM将棋) (@tayayan_ts) September 18, 2019
振電改と同等以上の強さを誇る振り飛車評価関数・振デレラ
「振デレラ(shinderella。ちなみにお姫様のほうのシンデレラのスペルは「Cinderella」です)」とは、WCSC29で5位、WCSOC2020で4位と常にトップクラスの成績を残しているコンピュータ将棋ソフト・Qhapaqの開発者、Ryoto Sawadaさんが2019年8月に公開した振り飛車評価関数です。
【shinderellaの面白さ】
orqhaやillqhaといった既存の評価関数に対して、人間の棋譜を転移学習させることで作成しています。教師局面数は10万弱であり、学習時間は約3分です。教師が少ないゆえか程よく過学習しており、中々に変態じみた将棋を指してくれるのが特徴です。
「Cute」(orqhaに対する転移学習)と「Cool」(illqha4に対する転移学習)の2つのタイプの振り飛車評価関数を、以下のページからダウンロードすることができます。
私は自然な振り飛車の指し手を良しとする振り飛車党ソフトを使いたい派なので、今でも振電改のほうを使用していますが、いわゆる「TAKESHI」評価関数(造語)を使用したい方は、振デレラを使用するのが良いのではないかと思います。
なお、TAKESHIとは、
The Art of King Evalute-function for Swinging HIsha(最善の振り飛車評価関数技術)のことであることは周知の事実でありましょう。— たややん@水匠(COM将棋) (@tayayan_ts) May 11, 2019
さらなるブレイクスルーはあるのか?
途中にも書いた通り、この振デレラが公開されたのは2019年8月。以来、これを超える振り飛車関数は公開されていないのではないかと思います。
実際には、より進化した居飛車評価関数ができれば、それを「振り飛車党」になるように追加学習することでTAKESHI評価関数が出来上がってしまうのでしょう。
しかしそれではあまり面白くありません。
同一環境下で、居飛車評価関数に並ぶか上回る振り飛車評価関数を生成できるような、ブレイクスルーが起きることを願っています(Honeywaffle開発者・渡辺光彦さんのように、新たな振り飛車定跡ファイルを開発する戦略もありです)。
コメント
コメント一覧 (4件)
floodgateに棋譜は無いんですか?
変態で強い振り飛車なんて興味しか無いです。
うっかり三間飛車さん
はじめまして。
振デレラが公開されたのは2019年ごろで、そのころはこの評価関数を使っていると思われるソフトがいくつか対局していた記憶があります。
最近は見かけないですね。どの評価関数を使っているかはソフト名からは一概に判断が付かないというのもあります。
返信ありがとうございます。
ソフト名から分からないのは残念ですよね。
水師2+CPUのTR3990Xがランキングを今は席巻していますが、
他にも強いAIが出てきて欲しいですね。
>うっかり三間飛車さん
はい、水匠2が多いですね。
代わり映えがないので、いろいろ出てきてほしいところです。