西山朋佳女流三冠VS若手強豪・青嶋未来六段
2020年6月23日に行われた第51期新人王戦、▲西山朋佳女流三冠(奨励会三段) 対 △青嶋未来六段戦。
棋譜と詳しい解説は、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
ノーマル三間飛車VS居飛車穴熊
女流棋士トップ(かつ奨励会三段)の西山女流三冠が若手強豪・青嶋未来六段に挑んでいった本局。
青嶋六段得意の居飛車穴熊(四間飛車穴熊も得意)に対し、振り飛車党の西山女流三冠がノーマル三間飛車から左銀を相手玉頭に進出していく戦術(玉頭銀)を採用しました。
左銀の動きは、6月11日に行われた第33期竜王戦6組準決勝、▲星野良生四段 対 △西山女流三冠戦と似ています。
が、居飛車側の対応が異なるため全く違う将棋となりました。
星野四段戦では、西山女流三冠が攻めに攻めて星野四段が受け続け、機を見て一気の反撃を決めた星野四段が勝利したのに対し、本局では激しい攻め合いに(と言ってもやはり穴熊を王手が見える形まではがさなくてはならない分西山女流三冠の攻めのターンが多めです)。
西山女流三冠、ベスト8進出
本譜は最終盤、西山女流三冠が桂馬を取って自玉の詰めろを回避した手が、実は持ち駒に桂馬が増えたため難解な「詰めろ逃れの詰めろ」になっていました。
対する青嶋六段は、見落としたのか、下駄を預けたのかわかりませんが、西山玉に詰めろをかける手を選択。
そして西山女流三段が見事に青嶋玉を詰まし切り、勝利しました。
これで西山女流三段はベスト8に進出。さらなる上位進出が期待されます。
新人王戦における奨励会三段優勝者の規定
ちなみに、新人王戦における奨励会三段優勝者の規定として、以下の規定があります。
このたび日本将棋連盟では、新人王戦において奨励会三段が優勝した場合の規定を下記の通り規定を定めました。
新人王戦で奨励会三段が優勝した場合、進行中の三段リーグ終了時に次点がつく
*本規定は2014年4月開始の第55回奨励会三段リーグより適用する
*新人王戦2回優勝(次点2回獲得)のみで四段昇段はしない
一方で、新人王戦の参加資格は以下の通りです。
- 26歳以下かつ六段以下(ただしタイトル戦経験者を除く)の棋士全員
- 26歳以下の女流棋士 4名(成績選抜による)
- アマチュア 1名(赤旗名人、年齢制限無し)
- 前期の奨励会三段リーグ成績上位者([出場人数]=40名-[上記1・2・3の合計人数])
優先順位的に2番目の「26歳以下の女流棋士 4名(成績選抜による)」の参加資格により今期新人王戦に参加している西山女流三冠ですが、新人王戦における奨励会三段優勝者の規定には、「前期の奨励会三段リーグ成績上位者の参加資格により新人王戦に参加している奨励会三段のうち」という前提条件は入っていないので、西山女流三段も優勝すれば次点がもらえるのでしょう。
すでに前期(第66期)三段リーグで次点を獲得しており、もう1回次点以上の成績を収めれば四段昇段がかなう西山女流三冠。
新人王戦優勝で次点獲得なるか、という点にも今後注目が集まってくるかもしれません。楽しみです。
参考:評価値グラフ
※棋譜解析エンジン / 評価関数:
YaneuraOu NNUE 4.88 / 振電改
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