竜王戦1組ランキング戦
2020年2月29日に行われた第33期竜王戦1組ランキング戦、▲佐藤和俊七段 対 △山崎隆之八段戦。
棋譜と詳しい解説は、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
無双状態の渡辺明三冠に勝利した佐藤和俊七段
佐藤和俊七段は、昨期(第32期)竜王戦2組から1組に昇級しました。順位戦も作年度(第77期)C級2組からC級1組に昇級しており、好調です。
しかも2019年12月20日に行われた今期竜王戦1組の初戦では、その当時今年度は豊島将之名人にしか負けていなかった無双状態の渡辺明三冠(棋王・王将・棋聖)相手に、後手番で振り飛車と思いきや雁木を採用し、見事勝利していました。
前期竜王の広瀬章人九段も同じく2組に陥落しています。
どんなに好調でも、竜王戦に黒星が2つ集まり連敗してしまうと陥落してしまうとは、恐ろしいところです。
渡辺三冠に勝った佐藤七段の次戦が、本局の山崎八段戦です。
山崎隆之八段の端歩突き越し作戦
さて本譜は、振り飛車党の先手・佐藤和俊七段に対し、後手の山崎八段が角道を開けずに早々に1筋の歩を突き越していきました。山崎八段らしい独創的な序盤戦術です。
山崎八段は、この対局の直前の2月26日に行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦、▲戸辺誠七段戦などでも同様の作戦を用いており、振り飛車党に対し用意してある構想なのでしょう。
石田流本組みVS中飛車左玉力戦形
その後、佐藤七段は石田流から石田流本組みへ。対する山崎八段は中飛車から左玉に進めました。
もはや完全に定跡を離れた手将棋ですが、本譜や前述の▲戸辺七段ー△山崎八段戦の進行を見る限り、先手は石田流本組みに組んで十分に戦えそうです。
手厚い布陣に対する佐藤七段と戸辺七段の手の作り方は参考になります。
佐藤七段、1組準決勝へ
本譜は終盤、激しい玉頭戦を制した佐藤七段が勝利。竜王戦1組の準決勝に駒を進めました。
準決勝は久保利明九段との振り飛車党対決です。
久保九段は相手が振り飛車党の場合、振り飛車を譲って居飛車を採用する傾向が強い気がするので、相振り飛車ではなく対抗形になると予想しておきます。
勝てば文句なし、負けても続く3位決定戦で勝てば決勝トーナメント進出となります。今後の行方にも注目です。
3月31日追記:佐藤和俊七段勝利
3月30日にこの▲久保九段 対 △佐藤七段戦が行われました。
戦型は、私の予想を覆し、久保九段の向かい飛車、佐藤七段の居飛車左美濃に。中盤から終盤に渡る長い玉頭戦を制した佐藤七段が勝利し、竜王戦1組準決勝進出と決勝トーナメント進出を同時に決めました。
恐るべき佐藤七段の快進撃。決勝トーナメントでの活躍にも期待したいと思います。
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