この記事は、2003年に書いた記事に加筆修正を加えたものです。
石田流VS棒金
(参照サイト:将棋倶楽部24)
「定跡外伝」 や 「島ノート 振り飛車編」(島朗九段 著) でしっかり紹介されたため、もはや完全に定跡が整備された感のある石田流VS棒金。
第1図は島ノート141ページあたりとほぼ同一局面です。
第1図以下、本の通りにお互い指すのが正着なのでしょうが、ここでは定跡を外す手順を紹介します。
将棋倶楽部24の石田流・三間飛車党の中で超強豪であるterror六段やyosyos五段らの棋譜を調べていて、覚えた指し手が以下のような手順です。
第1図以下の指し手
▲6七銀 △8三金
▲7七角 (第2図)
角交換を挑める陣形へ
石田流側が悪いのかもしれませんが、定跡通りではつまらない。
「7九に銀を残し、角交換のできる形にして勝負」という指し手が定跡外伝に載っていますが、本譜は「7七に角を移動して角交換を挑める形にしよう」という構想です。以下は力勝負となります。
ちなみに将棋倶楽部24でよくこの形になりますが、勝率は良いです。▲7七角に対し、さばきを恐れて△4四歩と角道を止められることがとても多い印象です。
2017年追記:対棒金以外で常識となった▲7七角型石田流
今や、▲7七角型石田流は当たり前の定跡形となりました。
ただし、それは対棒金ではありません。対棒金での▲7七角型を取り上げている定跡書は今でも私の知る限りありませんし、プロの実戦でもおそらく現れていません(そもそも石田流 対 棒金がレアすぎる、というのも大きな理由ですが)。対棒金で用いると、相手の金銀の圧力でさばきにくいのが難点です。
▲7七角型石田流は、とりわけ対左美濃で当たり前の定跡となり(第3図が一例)、対左美濃が載ったすべての石田流本で紹介されているといっても過言ではないほどです。
対居飛車穴熊でも、「久保の石田流」(久保利明王将 著)、「石田流を指しこなす本【持久戦と新しい動き】」(戸辺誠七段 著)をはじめ、多くの棋書で▲7七角型石田流の構想が載っています。
また珍しいところでは、袖飛車急戦に対する▲7七角型の解説が石田流を指しこなす本【急戦編】(戸辺誠七段 著)に、袖飛車急戦と2枚銀急戦に対する▲7七角型の解説が「よくわかる石田流」(高崎一生六段 著)に載っています。
対左美濃などで▲7七角型の経験値を積み、対棒金でも挑戦してみる、というのも面白いかもしれません。
対棒金では▲7七角型が定跡化されていない分、今でも十分居飛車党の意表を突けることでしょう。
2019年追記:「菅井流やんちゃ振り飛車」で棒金VS石田流▲7七角型を解説
2019年7月放送のNHK将棋講座「菅井流やんちゃ振り飛車」(講師は菅井竜也七段、7月のテーマは石田流三間飛車VS急戦)にて、棒金VS石田流▲7七角型が解説されました。
▲7七角型でも金銀の圧力に屈しない、華麗なさばきが披露されています。
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