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里見香奈女流四冠、3回戦で敗退
第12回朝日杯将棋オープン戦3回戦、▲中田功七段 対 △里見香奈女流四冠戦は、先手・中田七段の三間飛車 対 後手・里見女流四冠の二枚銀急戦となり、103手で中田七段が勝利しました。
棋譜と詳しい解説は、将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
香落ち上手風三間飛車VS二枚銀急戦
振り飛車党同士の対局となった本局は、序盤早々に端歩を突き合う駆け引きがありました(第1図)。
以下、▲6六歩と角道を止めると相振り飛車にされることを嫌ったのか、中田七段は▲7五歩。
これに対し里見女流四冠は△4二玉と上がり、結局先手・中田七段が三間飛車、後手・里見女流四冠が居飛車の対抗形になりました(第2図)。
第2図は後手が船囲いから二枚銀に構えたあと△8五歩と突いたところ。
これに対し▲7六飛だと、袖飛車を見せる△7二飛から、▲9七角△9二飛▲8八角△7二飛▲9七角△9二飛・・・の千日手を狙われる可能性があります。また、中田七段が石田流を採用しているのはあまり見たことがありません。
はたして、中田七段の着手は▲7七角。香落ち三間飛車定跡(参考図)のような、▲7五歩型(△3五歩型)のノーマル三間飛車になりました。
とはいっても本譜は▲7七角以下△7四歩▲同歩△同銀に▲9五歩△同歩▲同香(第3図)と、左香があることを存分に活かしたカウンターを炸裂させ、振り飛車ペースに。
見事なコーヤン流のさばきです。
飛車のタダ捨て
好調なさばきを見せていた先手でしたが、第4図からの次の一手はあまりにも衝撃的でした。
次の一手は▲5六銀?!
飛車をタダで与える代わりに▲2二香を先着できるようにする狙いですが、さすがにやりすぎで、▲7九歩の方が優ったようです。
中田七段も、感想戦で以下のように話しています(冒頭で紹介した朝日新聞デジタルの記事から引用)。
(54手目)△5五桂に対する応接が、やりすぎでしたね。飛車を取らせない変化に(すべきでした)。
この手を境に激戦となりましたが、結果は先手・中田七段の勝利となりました。
振り飛車党の2人
里見女流四段は1回戦で増田裕司六段、2回戦で福崎文吾九段に勝利して勝ち上がってきましたが、残念ながらここで敗退。
勝った中田七段も、次の豊川孝弘七段戦(戦型は先手・豊川七段の超速▲3七銀戦法 対 後手・中田七段のゴキゲン中飛車)で敗退となりました。
残念な結果となりましたが、今後も振り飛車党の2人を応援していきたいと思います。
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