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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

Hefeweizenの三間飛車(10)石田流▲6六銀型 VS 銀冠穴熊

白ビール
目次

初手▲7八飛からの▲7七飛戦法

将棋倶楽部24でのHefeweizenの一局より。

初手から▲7八飛(猫だまし戦法)△8四歩▲7六歩△8五歩と進んだところで、先手Hefeweizenの次の一手は▲7七飛(第1図)。

【第1図は5手目▲7七飛まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 飛 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=5 ▲7七飛まで

Hefeweizen得意の(かどうかはわかりませんがよく指している)▲7七飛戦法です。

以下▲7五歩〜▲7六飛として、何事もなかったかのように一手損して石田流に組みました(第2図)。

【第2図は18手目△3一玉まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v銀v角 ・|二
|v歩 ・v歩v銀v歩v歩v歩v歩 ・|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 ・ ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=18 △3一玉まで

対する後手は、角道を開けずに△3二銀〜△3一玉とする今風の構えです。

石田流▲6六銀型 VS 銀冠穴熊

進んで第3図。

【第3図は45手目▲4六角まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v金v香|二
| ・ ・v歩v銀v歩v歩v角v銀 ・|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 銀 歩 角 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 桂 歩 ・ 歩 桂 銀 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=45 ▲4六角まで

初手▲7八飛からの石田流であるため▲6六歩と突いていないのを活かして、▲6六銀型に組みました。角は8八→7九→4六とB面攻撃狙いのポジションに構えています。

その間に後手はガチガチの銀冠穴熊に。お互い主張のある局面です。

ここからの先手の金の使い方が特徴的でした。

第3図以下の指し手
      △8四飛
▲4八金寄 △9二香
▲3九金  △4四歩
▲3八金寄 (第4図)

【第4図は51手目▲3八金寄まで】
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v金v金v香|二
| ・ ・v歩v銀v歩 ・v角v銀 ・|三
|v歩v飛 ・v歩 ・v歩v歩v歩v歩|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 銀 歩 角 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 桂 歩 ・ 歩 桂 銀 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=51 ▲3八金寄まで

先手Hefeweizenは、2枚の金を寄って縦に並べる布陣を選択。上部は薄いですが、下段飛車にはめっぽう強い囲いと言えます。

手厚く推進力のある受け

さらに進んで第5図。

【第5図は74手目△3五馬まで】
後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ 龍 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
|v香 ・ ・ ・ ・v歩v金v金v香|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v角v銀 ・|三
|v歩 ・ ・ ・ 全 歩 ・v歩v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・v馬 ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ 歩 ・v歩 歩 歩|六
| ・ 歩 桂 歩 ・ ・ 桂 銀 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 銀 桂 歩四 
手数=74 △3五馬まで

銀桂得しており先手有利は間違いないですが、ここからの勝ち方が印象的でした。

第5図以下の指し手
▲4八銀! △5七歩
▲6五飛! △3七歩成
▲同 銀  △4五桂
▲3六銀左 △4六馬
▲3七歩  △5六馬
▲4五銀  (第6図)

【第6図は85手目▲4五銀まで】
後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ 龍 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
|v香 ・ ・ ・ ・v歩v金v金v香|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v角v銀 ・|三
|v歩 ・ ・ ・ 全 歩 ・v歩v歩|四
| ・v歩 ・ 飛 ・ 銀 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・v馬 ・ ・ 歩 歩|六
| ・ 歩 桂 歩v歩 ・ 歩 銀 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂二 歩四 
手数=85 ▲4五銀まで

「金持ちけんかせず」という格言は、将棋にも当てはまります。「駒得は裏切らない」という森下卓九段の至言もあります。

じっと▲4八銀と打ち、上部を手厚くサポート。さらに▲6五飛打(なぜ7五でなく6五に打ったのかは後でわかります)と受けに回ります。△4五桂▲3六銀で銀を上ずらされたようですが、▲3七歩打で囲いはしっかりしています。

そして△5六馬に▲4五銀が決め手。4八に打った銀がここまで進んで、桂を取りながら攻めを支える駒になりました。仕方のない△6五馬に▲同桂が手順に桂を跳躍する絶品の一手です。以下、2枚の桂による▲3五桂のおかわり攻め(第7図)で寄せました。

【第7図は89手目▲3五桂まで】
後手の持駒:飛 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ 龍 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
|v香 ・ ・ ・ ・v歩v金v金v香|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v角v銀 ・|三
|v歩 ・ ・ ・ 全 歩 ・v歩v歩|四
| ・v歩 ・ 桂 ・ 銀 桂 ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 ・|七
| ・ ・ ・ ・vと ・ 金 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 桂 歩四 
手数=89 ▲3五桂まで

自分の将棋でも、単なるジリ貧とは異なる徹底的な「先受け」で、一度は勝機をつかんでみたいものです。

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