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初手▲7八飛からの▲7七飛戦法
将棋倶楽部24でのHefeweizenの一局より。
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Hefeweizen、振り飛車党に転向?して将棋倶楽部24に参戦中
2018年5月に行われた第28回コンピュータ世界コンピュータ将棋選手権(WCSC28)で優勝した、Hefeweizen。ドイツ南部の酵母入りビールで、濁った白ビールだそうです。このHefeweizenがWCSC28で優勝して以降、異なるスペックだそうですが将棋倶楽部24に参戦しています。
初手から▲7八飛(猫だまし戦法)△8四歩▲7六歩△8五歩と進んだところで、先手Hefeweizenの次の一手は▲7七飛(第1図)。
Hefeweizen得意の(かどうかはわかりませんがよく指している)▲7七飛戦法です。
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奇襲戦法の基礎知識 ▲7七飛戦法とは
「▲7七飛戦法」とは、先手三間飛車に対して後手が真っ先に飛車先の歩を伸ばしてきたときに、▲7七飛と浮いて飛車先を受ける戦術です。門倉啓太五段は「無理やり早石田」と名付けています。狙いは、一手損してでも石田流に組むことです。
以下▲7五歩〜▲7六飛として、何事もなかったかのように一手損して石田流に組みました(第2図)。
対する後手は、角道を開けずに△3二銀〜△3一玉とする今風の構えです。
石田流▲6六銀型 VS 銀冠穴熊
進んで第3図。
初手▲7八飛からの石田流であるため▲6六歩と突いていないのを活かして、▲6六銀型に組みました。角は8八→7九→4六とB面攻撃狙いのポジションに構えています。
その間に後手はガチガチの銀冠穴熊に。お互い主張のある局面です。
ここからの先手の金の使い方が特徴的でした。
第3図以下の指し手
△8四飛
▲4八金寄 △9二香
▲3九金 △4四歩
▲3八金寄 (第4図)
先手Hefeweizenは、2枚の金を寄って縦に並べる布陣を選択。上部は薄いですが、下段飛車にはめっぽう強い囲いと言えます。
手厚く推進力のある受け
さらに進んで第5図。
銀桂得しており先手有利は間違いないですが、ここからの勝ち方が印象的でした。
第5図以下の指し手
▲4八銀! △5七歩
▲6五飛! △3七歩成
▲同 銀 △4五桂
▲3六銀左 △4六馬
▲3七歩 △5六馬
▲4五銀 (第6図)
「金持ちけんかせず」という格言は、将棋にも当てはまります。「駒得は裏切らない」という森下卓九段の至言もあります。
じっと▲4八銀と打ち、上部を手厚くサポート。さらに▲6五飛打(なぜ7五でなく6五に打ったのかは後でわかります)と受けに回ります。△4五桂▲3六銀で銀を上ずらされたようですが、▲3七歩打で囲いはしっかりしています。
そして△5六馬に▲4五銀が決め手。4八に打った銀がここまで進んで、桂を取りながら攻めを支える駒になりました。仕方のない△6五馬に▲同桂が手順に桂を跳躍する絶品の一手です。以下、2枚の桂による▲3五桂のおかわり攻め(第7図)で寄せました。
自分の将棋でも、単なるジリ貧とは異なる徹底的な「先受け」で、一度は勝機をつかんでみたいものです。
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