大量414問を収録
「次の一手で覚える 三間飛車定跡コレクション414」のひとくちレビューをお送りします。
著者は、「定跡伝道師」として数多くの定跡書をリリースしている所司和晴七段です。
414問という大量の次の一手問題が収録されています。
目次は以下の通りです。
テーマ1 居飛車穴熊対△5三銀型三間飛車
テーマ2 居飛車穴熊対△6四銀型三間飛車
テーマ3 居飛車穴熊対コーヤン流三間飛車
テーマ4 居飛車穴熊対△4三銀型三間飛車
テーマ5 居飛車穴熊対△4三銀型三間飛車急戦向かい飛車
テーマ6 居飛車穴熊対トマホーク戦法
テーマ7 地下鉄飛車対銀冠穴熊
テーマ8 居飛車急戦▲4五歩早突き型対三間飛車
テーマ9 居飛車急戦▲3七桂・5七銀左型対三間飛車
テーマ10 居飛車急戦対三間飛車△7二銀早上がり型
テーマ11 先手三間飛車対居飛車急戦△5三銀左型
テーマ12 先手三間飛車対右四間飛車
テーマ13 左美濃対三間飛車
定跡手順をていねいに解説
定跡手順を一手または数手ずつていねいに解説しながら進めていく構成となっており、三間飛車の入門者や級位者の方々にとって非常に分かりやすい内容になっています。
半面、有段者の方には「そこから解説?」と感じられてしまうほど序盤から解説されているケースもあります。
工夫された問題配置
1ページに問題1問、続く1ページにその解答、という構成となるととんでもないページ数になってしまう(単純計算で414問×2ページで800ページ越え。電子書籍版ならばそれでも気になりませんが)ので、1ページを上下に分割して問題2問、続く1ページにそれぞれの解答、という構成になっています。
ただ、前述の通り定跡を一手ずつ問題にしているため、連続した問題が同じページの上下に並んで載ってしまうと上段の問題の解答がわかったも同然になってしまうので、テーマ毎にまず上段で問題が連続して進み、テーマの最後のページにたどり着くと同テーマの最初のページの下段に戻って再び連続した問題が続く、という並び順になっています。
「ちょっと何言ってるか分からない」という方は、棋書販売ページで数ページ分無料で「立ち読み」できますので、ご確認ください。イメージがつかめるのではないかと思います。
ノーマル三間飛車に特化して様々な定跡を収録
本書は序盤早々に角道を止める「ノーマル三間飛車」に特化した定跡書です。ただし、居飛車持久戦相手に石田流に組み換える定跡は掲載されています。
目次の通り、居飛車穴熊VS三間飛車(参考1図)を筆頭に、地下鉄飛車対銀冠穴熊、VS急戦(参考2図)、VS右四間飛車、VS左美濃など、様々な定跡が収録されています。
特に居飛車穴熊対トマホーク戦法と地下鉄飛車対銀冠穴熊は、2020年7月現在でも最新形といえる攻防だと思います。
一方でエルモ囲い居飛車急戦やエルモ囲い右四間飛車は、本書が発売された2019年3月時点ではさすがに定跡確立とはいかず、掲載には至らなかったようです。
観る将の方々にもオススメ
はじめの方で「三間飛車の入門者や級位者の方々にとって非常に分かりやすい」と書きましたが、もちろん観る将の方々にとっても分かりやすくオススメです。
プロ公式戦を観戦していて、三間飛車の戦型が現れたら本書を取り出して似た局面を探してみて、そこだけピンポイントで読んでみるなど、辞書的な使い方をしても面白いのではないかと思います。
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