NHK将棋講座テキスト10月号(Kindle版)を購入しました。ひとくちレビューをお送りします。
NHK出版 日本放送協会 NHK出版 2017-09-16
目次
三間飛車藤井システム
購入の決め手は、なんといっても「三間飛車藤井システム」の解説が載っていることです。
「久保システム」とも呼ばれています。
カズトシ流 主導権をにぎる振り飛車
10月から講師が佐藤和俊六段に替わりました。半年間の講座のメインタイトルは、「カズトシ流 主導権をにぎる振り飛車」。
そして10月のテーマが、「後手番で緩急自在 三間飛車藤井システム」となっています。
佐藤和俊六段は、第66回NHK杯将棋トーナメントで、この三間飛車藤井システムを駆使して準優勝しました。棋譜はすべて、NHK杯テレビ将棋トーナメントのWebサイトで観ることができます。
1回戦の加藤桃子女王・女流王座戦では後手ノーマル四間飛車、先手番となった準々決勝の村山慈明NHK杯選手権者戦では先手中飛車を採用しましたが、2回戦の屋敷伸之九段戦(第1図)、3回戦の羽生善治三冠戦(第2図)、準決勝の橋本崇載八段戦(第3図)、決勝の佐藤康光九段戦(第4図)で三間飛車藤井システムを採用し、準優勝という華々しい結果を残しました。
決勝戦は残念な結果に終わりましたが、それ以外は本当に凄まじいメンバーをなぎ倒しての快挙です。
この快挙を受け、佐藤和俊五段が講師に抜擢されたのでしょう。
三間飛車藤井システムの詳細解説
講座では、上記実戦譜を元にした解説は上級編として後半に置いています。
前半は、従来の四間飛車藤井システムとの違い、メリット/デメリットをていねいに解説し、居飛車が持久戦できた場合と急戦できた場合(一例は第5図)のいずれでも十分に戦えることを示しています。
結果を残しているだけに、とても説得力があります。
また、「システム」と名付けているだけあり、居飛車側の様々な形に対する構想や、いろいろな攻め筋を紹介しています。例えば、穴熊への端攻めはもちろんとして、陽動居飛車(振り飛車側を後手として9筋、7筋、6筋に飛車を振り直す)+雁木の構想や、玉頭銀などです(ただし、トマホークのような端桂からの端攻めは出てきません)。
10月1日から始まるテレビ放送「NHK将棋フォーカス」内の講座と合わせて読むと、効果抜群でしょう。
なお聞き手は室谷由紀女流二段です。
おすすめしたい方
三間飛車藤井システムは、例えば以下のような方におすすめです。
POINT
- 居飛車穴熊に苦しんでいるノーマル三間飛車党の方
- 石田流に飽きた三間飛車党の方
- 振り飛車党だけど最近流行の雁木を指してみたい方
- 変幻自在の戦い方をしてみたい方
指してみるとわかりますが、早々に振り飛車を明示しないことや、定跡が確立していないこともあり、居飛車側の対応は本当に様々です。
それを楽しめる方にはとても良いと思います。
この戦型の経験値を自分だけ貯めていると、活きることが多いかもしれません。
その他
佐々木慎六段の猫だまし戦法
テキストには、9月に行われたNHK杯テレビ将棋トーナメント4局(佐々木慎六段 対 阿久津主税八段戦、木村一基九段 対 川上猛六段戦、深浦康市九段 対 増田康宏四段戦、畠山鎮七段 対 広瀬秋章人八段戦)の詳しい解説と棋譜も載っています。
このうち佐々木慎六段 対 阿久津主税八段戦は、佐々木六段の猫だまし(初手▲7八飛)戦法から始まる石田流 対 居飛車穴熊の戦い(第6図)だったので、三間飛車党の方には非常に参考になると思います。
9月27日追記
以下の記事にレビューを追記しました。
あわせて読みたい
NHK将棋フォーカス 2017年10月のテーマは三間飛車藤井システム
2017年10月から来年3月までの半年間、NHK将棋フォーカスの講座の講師が佐藤和俊六段になります。聞き手は9月までと変わらず室谷由紀女流二段です。メインタイトルは、「カズトシ流 主導権をにぎる振り飛車」。そして10月のテーマが「後手番で緩急自在 三間飛車藤井システム」です。三間飛車党は必見でしょう。
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