この記事は、2003年に書いた記事に加筆修正を加えたものです。
目次
実戦例
今回は、「猫だまし戦法」の実戦例を紹介します。
驚くべきことに、 初手▲7八飛はプロの実戦でも存在します。この事実が、 この戦法がプロ間でも通用するものだということを示しているといえるでしょう。
平成10年第6期銀河戦、▲真部一男八段VS△神谷広志七段戦より(段位は当時)。
初手からの指し手
▲7八飛! (第1図)
まさに意表の初手。相手を動揺させることだけでもこの戦法の価値はあります。
簡単にとがめられそうですが、「以前研究したことがあって、(▲7八飛を)とがめるのは難しい」 (神谷先生談)のです。
例えば、真っ直ぐとがめにいくとしたら8筋からの速攻ですが、初手から▲7八飛△8四歩には、▲7六歩で問題なし。普通の三間飛車に戻りますが、第2章・第2節で述べる「新鬼殺し」 という乱戦に持ち込むことも可能です。
また、初手から▲7八飛△3四歩には▲4八玉。以下△8四歩なら▲3八玉!(▲7六歩は△8八角成から△4五角が激痛)△8五歩▲7六歩!(第2図)
これら2手目△3四歩についての解説は、第3章と第4章で行ないます。
先手の挑発に乗る
さて本譜は、後手の神谷先生が「普通の戦型になるのはどうも釈然としない」ということで、
第1図以下の指し手
△3四歩
▲4八玉 △3五歩
▲2八銀 △3二飛
▲7六歩 △8二銀
▲7五歩 (第3図)
と進行。居飛車党の神谷先生いわく、「はじめてかもしれない」という相振り飛車を選択。
まんまと先手の挑発に乗ってしまい、全く慣れない戦型に進めてしまったということでしょう。この時点で、ある意味先手が大成功です。
次回は、「猫だまし戦法」のフローチャートを紹介します。
次回
講座の目次に戻る
コメント