本当に流行していた三間飛車
2ヶ月前に、三間飛車流行の兆候を取り上げた記事を書きました。
疑心暗鬼でしたが、実際に流行しているようです。
三間飛車流行を表しているコンテンツを3つ紹介します。
1.プロ公式戦の分析結果
元奨励会三段のあらきっぺさんのブログで、プロ公式戦の戦型と序盤戦術を集計、分析しています。
集計対象や詳しい分析結果については、記事を参照ください。
1/1〜1/31
2月の記事の方は、集計対象期間が1/1〜1/31。
この間、
三間飛車:12局
石田流:3局
先手中飛車:8局
ゴキゲン中飛車:4局
角交換振り飛車:13局
四間飛車:8局
相振り飛車:9局
となっており、三間飛車単独でも角交換振り飛車よりわずかに1局少ないのみで、石田流と合わせるとトップとなります。
先手中飛車とゴキゲン中飛車を合わせた数にも負けていません。
三間飛車の中の内訳では、初手▲7八飛や初手から▲7六歩△8四歩▲7八飛のオープニングが増加とのことで、これは大いに納得です。
2/1〜3/31
3、4月の記事の方は、集計対象期間が2/1〜3/31。
この間、
三間飛車:19局
その他の振り飛車:11局
先手中飛車:18局
ゴキゲン中飛車:8局
角交換振り飛車:27局
四間飛車:15局
相振り飛車:15局
となっています。
「その他の振り飛車」の内訳は、「石田流」「向飛車」「4→3戦法」「角道を止める中飛車」などで、決して石田流系統だけではありませんが、三間飛車と合わせた数は角交換振り飛車や中飛車を上回っています。
2.モバイル編集長・遠山雄亮六段の記事
2つ目は、「将棋世界2018年6月号」内のモバイル編集長・遠山雄亮六段の記事です。
毎号1ページ、注目の新手や構想を取り上げている記事ですが、6月号で取り上げているのが「三間飛車 初手▲7八飛」で、2017年度三間飛車が流行したことを紹介しています。
石田流に加え、穴熊を牽制する藤井システム調の序盤や、角交換含みの展開もあり、幅が広がった
と分析しています。
3.新手年鑑2018年版
最後は「新手年鑑2018年版」です。
これは2.で紹介した「将棋世界2018年6月号」の付録です。
全20問のうち、相振り三間飛車における里見香奈女流名人の新構想1問を合わせると、実に6問が三間飛車関連です。
角換わりや雁木などの相居飛車の問題も含めた全20問のうちの6問ですから、その数は際立っています。
実をいうと、これについては「三間飛車の流行を現している」というよりも「とんがった(際立った特徴を持った)三間飛車の新構想が多かった」と言ったほうが適切かもしれません。
昨年度は菅井王位によるいわゆる「うっかり三間飛車」や「阪田流三間飛車」、佐藤和俊六段の「三間飛車藤井システム(久保システム)」、そして「トマホーク」など、三間飛車の新構想が多数注目を集めました。
ただ、これら新構想は採用数が多いわけではなく、三間飛車流行の代名詞とはなっていません(最も代名詞として上げられるのは、2.で紹介した初手▲7八飛戦法だと思います)。
新構想の採用数がもっと上がっていれば、現在の三間飛車の流行はさらに顕著なものになっていたでしょう。
2018年度の三間飛車流行継続に期待
近年、研究スピードと情報伝達スピードが急上昇しています。
それは流行の初手▲7八飛戦法に対しても例外なく当てはまり、居飛車側の対策検討が猛烈なスピードで進んでいるそうです。
はたして三間飛車の流行は短期間で終わってしまうのか。
そんなことはないはずです。
三間飛車から派生する戦術は数知れず、どれかが、いや、どれもが次々に光明を見出してくれることを願っています。
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