村田顕弘六段の新刊
来月(2018年8月)、「振り飛車最前線 石田流VS△1四歩型」が発売されることがわかりました。
著者は村田顕弘六段。
過去に「アマの知らない マル秘定跡」や「先手中飛車 最強の証明 ―主要5戦型徹底分析―」、「現代横歩取りのすべて」などの著書があり、数多くの戦型でわかりやすい解説とともに定跡の体系化を進めているプロ棋士の先生です。
石田流の天敵・4手目△1四歩
タイトルの通り、テーマは石田流VS△1四歩型。
正確に書くと、3手目▲7五歩と先手が石田流を明示したのに対し、後手が△1四歩(第1図)とした局面がテーマ図です。
この4手目△1四歩が、石田流にとって「くせ者」となっているのが将棋界の現状です。後手は、居飛車か振り飛車かの態度を示すのを先送りするため、序盤早々じっと端歩を突きます。そして、先手の5手目を見てから構想を決定します。
具体的には、5手目▲1六歩には後手も飛車を振って相振り飛車。▲1六歩をとがめにいく構想です。5手目▲6六歩や▲7八飛には、△1五歩と突き越して居飛車を目指してきます。
4手目△1四歩以下の戦いについて、過去に本ブログで紹介した記事を参考に載せておきます。
振り飛車は戦えるのか?5手目の最善手は?
結論を急いでしまうと、
- 振り飛車は互角以上に戦えるのか?
- 5手目の最善手は▲1六歩なのか?それ以外なのか?
が目下の興味となってしまいます。
が、1冊の棋書になるくらいですから、おそらく先後それぞれの様々な構想とテクニックが解説されることでしょう。
最近のプロの対局では、5手目に▲1六歩とは突かずに石田流 対 居飛車+端歩位取りに進んでいるケースが多く、結果的には後手が押しているように思います(調査対象:将棋連盟ライブ中継アプリの中継対局)。
例えば下図は2018年5月に行われた第66期王座戦挑戦者決定トーナメント、▲藤井猛九段 対 △久保利明王将戦です(結果は後手の勝ち)。
先手としては端で位を取られることの見返りに、左辺で模様勝ちをしてそのまま逃げ切るのがプランとなりますが、美濃囲いの玉の狭さがたたって勝ちにまで結び付けにくいのが現状のように感じます。
本書で、この情勢を打開する何か良い構想が紹介されるのでしょうか。端歩位取りを苦にしない、振り飛車穴熊狙いの構想も紹介されるかもしれません。5手目▲1六歩から相振り飛車に進むケースの新構想にも注目です。
間もなく杉本和陽四段の処女作も?
余談ですが、近々杉本和陽四段初の著書もリリースされるかもしれません。
今日は杉本和陽四段と書籍の打ち合わせ。杉本先生がノーマル三間飛車を指し始めたのは山本三段の影響なんだそうです。
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) 2018年6月26日
ノーマル三間飛車を主力戦法とする杉本四段。将棋情報局編集部との会話内容からも、三間飛車に関する棋書であることは間違い無いでしょう。
なお「山本三段」とは、「三間飛車新時代」を師匠・小倉久史七段と共著している山本博志奨励会三段のことです。
こちらも発売が楽しみです。
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