この記事は、2003年ごろに書いた記事に加筆修正を加えたものです。
目次
2手目
前回述べた通り、この「VS右四間かんたん講座」では、三間飛車側が先手番のときについて解説していきます。
△8四歩は一手パス
初手▲7六歩に対する後手の2手目は、△3四歩(第1図)が本筋となります。
ここで△8四歩は、右四間を目指すならば一手パスに近い手となります。8筋から攻めないのに、この歩を突いても実質価値がないからです。
なお右四間飛車側にとって対四間飛車の場合は、△7三(9三)桂~△8五桂(参考1図)と跳ねるのがよくある定跡で、このときに△8四歩と突いてあれば振り飛車が桂を取りに行く▲8六歩~▲8五歩に対し△同歩と取れる、という利点があります。
ただし対三間飛車の場合は全然毛色が違い、この右桂が跳ねる展開にはまずなりません。したがって、この利点も存在しません。
つまり、△8四歩としたあと右四間にしてくれるならば、三間飛車側にとって大歓迎といえます。これは2手目に限らず、序盤の駒組み中すべてのタイミングでいえることです。
したがって本講座では、右四間側は△8四歩とは突かないこととします。
△3四歩、△8四歩以外の場合
△3四歩、△8四歩以外の2手目についても簡単に紹介しておきますと、△6二銀や△6四歩が挙げられます。
しかしこれらはあまりにも早く右四間の意図を見せすぎです。
以下は、三間飛車にこだわらなければ▲2六歩(参考2図)と突いて相居飛車戦に持ち込んで、先手十二分に戦えます。
三間VS右四間の戦いとはかけ離れてしまうので、参考2図以下の解説は省きます。
普通に▲6六歩や▲7八飛から三間飛車にしても構いません。結局は後述の変化と同様の形に落ち着くはずです。
3手目
続いて3手目です。
初手から▲7六歩△3四歩に対する3手目として、普通に三間飛車を目指すなら▲6六歩(第2図)でしょう。
本講座では、3手目▲6六歩の展開についてのみ解説します。
▲7五歩の場合
ちなみに3手目に▲7五歩と突くと、升田式石田流もしくは石田流本組み含みの戦いとなります。
一応、後手が初志貫徹の右四間狙いならば、▲7五歩以下△4二玉▲6六歩△6二銀▲7八飛△6四歩(参考3図)などの展開から三間VS右四間の戦いになることもあります。
この場合は次回以降の解説に▲7五歩と△4二玉の交換が入った形と見ることができますので、その感覚でご覧ください。
または、「石田流の極意―先手番の最強戦法」(鈴木大介先生 著)でまさにこの形が詳細に解説されていますので、ご参考あれ。この書籍では、▲7六飛と上がって石田流で右四間を完璧に受け切る順も紹介されています。
さらに、「石田流道場(東大将棋ブックス)」(所司和晴先生 著)にも石田流VS右四間飛車の戦いが載っています。こちらは、比較的中立な定跡解説書といえます。
▲6六歩、▲7五歩以外の場合
他には3手目▲1六歩や▲9六歩くらいですが、この場合は盤中央においては感覚的に三間飛車側が後手番に回ってしまうので、「第1章・第2節」で述べたように、以下△6二銀▲6六歩△6四歩と進んだときに三間飛車にはしにくくなります。
ですので、何が何でも三間飛車にしたいのであれば3手目▲1六歩や▲9六歩はあまりお勧めはしません。
次回は、3手目▲6六歩以降の概要を、フローチャートを用いて説明します。
2018年追記 山本流石田封じ
この記事を書いた2003年以降に、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△4二玉▲6六歩のところで、△6二銀ではなく△6四歩(参考4図)と突いて先手の石田流を牽制する「山本流石田封じ」という戦術が現れました。
これについては以下の記事を参照ください。
あわせて読みたい
石田流の基礎知識 山本流石田封じとは
「山本流石田封じ」とは、山本真也六段が考案した、石田流封じの後手番急戦右四間飛車です。右銀を上がる前に飛車を6筋に回るのが最大の特徴です。石田流が成立するかしないかの結論は出ていないので、本当に封じ込めているかどうかは正確にはわかっていません。
次回
次回
VS右四間かんたん講座 第1章・第4節 戦法フローチャート
VS右四間かんたん講座のフローチャートは以下の通りです。3手目▲6六歩以下、右四間側の指し手は大きく分けて①△6四歩と②△6二銀に分かれます。なおこの2つの他にも△4二玉などもありますが、いずれはどちらかの変化に落ち着きます。
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