2021年11月4日に行われた第80期順位戦A級5回戦、▲山崎隆之八段 対 △菅井竜也八段戦。
棋譜と詳しい解説は、名人戦棋譜速報や将棋連盟ライブ中継アプリで観ることができます。
初参加のA級で苦闘する山崎隆之八段
前期(第79期)、順位戦B級1組から悲願のA級に初昇級した山崎八段。
しかしここまで0勝4敗と精彩を欠いています。とりわけ4回戦での佐藤康光九段戦での大ポカはあまりにも衝撃的でした(以下の動画を参照。再生開始位置はあわせてあります。その一手を見たときの佐藤九段の二度見、いや十度見がすごいです)。
スタイルを貫きパックマンを採用
それでも山崎八段はくじけません。いや、くじけていようがいまいが、序中盤のスタイルを変えることはないでしょう。
菅井竜也八段戦で、山崎八段はパックマン戦法を採用しました。相変わらず「魅せる」棋士です。
山崎八段は、過去にも久保利明九段ら振り飛車党を相手にパックマンを採用しています。
振り飛車党相手には力戦で挑むスタイルで、それは順位戦A級でもブレることはありませんでした。さすがです。
菅井竜也八段、三間飛車で対抗
対する菅井八段は、パックマンの誘いに乗らず(6六の歩を取らず)、三間飛車で対抗しました。三間飛車の採用は、上述のリンクの久保九段や西川六段と同じです。
パックマンは、相手が誘いに乗ってこない場合▲6六歩と突いているので必然的に角道クローズ型で戦うことになります。それに対し振り飛車党は、自らが角道オープンであることを活かした戦いがしやすい三間飛車を採用するのが基本戦術と言えます。
以下、山崎八段も陣形を盛り上げたあと向かい飛車に転じ、力戦相振り飛車の戦型となりました。
山崎八段、快勝
力戦向かい飛車VS石田流本組み+美濃囲いとなった中盤戦。ねじりあいで優勢に立ったのは、山崎八段でした。
終盤、山崎八段は菅井八段の攻めに手厚い受けで対処。自玉を鉄壁にしたあと着実な寄せで優勢を拡大し、そのまま勝利しました。
これでA級初勝利を上げた山崎八段。しかし順位が一番下なので、降級争いでは引き続き厳しい戦いが続きます。今後の奮闘にも注目したいと思います。
参考:評価値グラフ
※棋譜解析エンジン / 評価関数:
YaneuraOu NNUE 6.00 / 騨奎紫(たけし)
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